◆証券会社
証券会社の主幹業務は以下の4つです。
①引受業務(買取再販)(アンダーライティング)
証券会社が発行株式を買い取って投資家へ販売します。総買取の「買取引受」と売れ残り分のみ買取の約束をする「残額引受」の2パターンがあります。
②募集業務(勧誘)(セリング)
その名の通り不特定多数の投資家に証券の購入を勧誘する事を指します。
特に「公募」は「有価証券届出書」を提出しているものでなければならず、発行者は「目論見書」を発行する必要があります。
③委託売買業務(売買仲介)(ブローカレッジ)
引受は証券会社が売主となるのに対し、ブローカレッジは「媒介」に該当します。顧客から仲介手数料を得るスキームなので、引受と違い価格変動のリスクを負いません。
④自己売買業務(ディーリング)
個人投資家同様に売買差益を目論む取引の事です。セリング、ブローカレッジの収益にプラスして取り組む意味合いが強く、価格変動リスクを負う分、収益性は高まります。
●証券市場
・発行市場(プライマリー)証券発行→資金調達を行う市場。(PO、IPOに該当します。)
・流通市場(セカンダリー)発行済証券の売買が行われる市場。
★公募増資(新株式を発行し、投資口数を増やす)は時価総額(発行済み株式総額)の15%を超えない範囲が妥当な水準と言われています。
(投資口数が増えすぎると株価の希釈化を招き、既存株主が不利益を被る恐れがある為。)
公募増資の株価は価格決定日の終値を基準とし、3〜5%のディスカウント価格で決定されます。
●債券市場
株式による資金調達がエクイティファイナンスであることに対して債券発行による資金調達はデットファイナンス(負債)
と呼ばれ、配当ではなく返済という考え方ですので、元利の支払いが遅れると債務不履行(デフォルト)となります。
元利の支払い方法としては満期一括償還の「ハード・ブレット」と、分割償還の「アモチゼーション」があります。
社債による資金調達時に優先返済のモノ、劣後のモノに仕分けて効率化を図る事を「トランチング」と言います。
★社債利回りは流通利回りを参考にしながら投資家需要のヒアリングを経て決定されます。国債利回りに上乗せする利回り決定が一般的で、「スプレッドプライシング」と呼ばれています。
▶債券種類
・割引債(ゼロクーポン債) 期中の利払いがない代わりに割引購入できる債券。(償還益が利息代わりになります。)
・ストリップス債 元本部分と利息部分を分けて販売させる割引債券。
・ジャンクボンド(ハイイールド債) デフォルトリスクが高く、高利回りな債券。
・仕組債 社債に金融商品、デリバティブ商品を組み込んだ特殊債券。
★債権利回り計算方法
<利付債の単利計算> 償還利回り(%)=[年間クーポン収入+(償還価格-購入価格)/残存年数] ÷購入価格×100
<割引債の単利計算> 償還利回り(%)=[(償還価格-購入価格)/残存年数]÷購入価格×100
◆銀行
固有業務:受信業務(預金・負債)、与信業務(貸付・資産)、為替業務
付随業務:固有業務以外の銀行業に付随する業務。
上記の役割は個人や一般企業から見たものですが、「機関投資家」というもう一つの顔が銀行にはあります。
株式や債券も大量保有しているのが銀行であり、不動産証券化においてはJ-REITの主要投資家となっています。
★金融機関の貸し出し対象企業のクレジットレベルは、社債発行企業のクレジットレベルと比較して低くなっています。
・バーゼル合意(BIS規制)
銀行の安全な自己資本比率の尺度です。
8% ≦ 自己資本÷(与信額×リスクウェイト+市場リスク+オペレーショナルリスク)
上記をバーゼルIと呼ぶことに対し、銀行が抱えるリスク計測(自己資本比率を算出する際の分母)の精緻化を行ったものをバーゼルⅡ、
プラスアルファで資本の内容や流動性の確保についての規制を銀行に課す「バーゼルⅢ」が新たな枠組みとなろうとしています。(2027年に完全適用を目標)
★ALM
アセット・ライアビリティ・マネジメント (Asset Liability Management)とは、金融上のリスク管理の手法の一つで、総合的な資産と負債の管理のことです。
◆信託銀行
信託とは委託者が受託者に財産の名義を移し、受託者は委託者のために財産の管理、運用、処分を行う事を意味します。
名義を移した財産から発生する利益を受け取る権利を「信託受益権」と言います。
不動産信託においては、管理を目的とする管理信託と、売却を目的とする処分信託、更地への建築を目的とする土地信託があります。
信託業務の新規受託や既存業務のワンストップサービスを目指すため、信託銀行では不動産の管理、売却、運用はもちろん権利関係の調整や鑑定業務まで、包括的に委託者(受益権者)をサポートしています。