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鑑定理論

不動産鑑定評価基準 総論第4章-不動産の価格に関する諸原則-

 

 

以下の「11の諸原則」を活用することによって「客観的な鑑定評価」が可能となる。

 

 

最有効使用の原則

 不動産の価格はその不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用(最有効使用)を前提として価格形成される。

その不動産の使用によって最も高い効用を得られる買主、テナントであれば最も高い価格・賃料で契約が可能であるということ。

 

均衡の原則(最有効使用のための条件①)

 不動産の収益性、快適性が最高度に発揮される為には、構成要素の組み合わせが均衡を得ている事が必要。(内部構成要素の均衡)

マンションの戸数に対して駐車場の区画数が多すぎる場合は最有効使用とは言えない場合がある。

 

適合の原則(最有効使用のための条件②)

 不動産の収益性、快適性が最高度に発揮される為には、当該不動産が環境に適合している事が必要。(外部環境との適合)

歓楽街のど真ん中にあるマンション(快適性△)は最有効使用とは言えない場合がある。

 

需要と供給の原則

 不動産は他の財と異なり「自然的要因」及び「人文的要因」を有するので、需要と供給及び価格の形成にはこれらの特性が反映される。

 不動産は価格上昇に対して供給の増加の程度が小さいので、「供給の価格弾力性」が小さい。

需要については人文的特性による用途の多様性の反映から需要は増大するが、価格上昇に伴って収益性の低い用途への需要は撤退するため結果的に「需要全体としては減少」する。

価格弾力性は小さいが、価格が上がれば需要全体が減少する。だから「国土利用計画法」が不動産価格の高騰を抑制している。

 

代替の原則

 不動産の価格も代替可能な他の不動産又は財の価格と相互に関連して形成される。

※不動産の自然的特性として「非代替性」を有しているが、「効用」に着目することによって、同程度の効用を持つ不動産相互の間に代替関係を認めることができる。

土地の物理的特性は非代替性を有しているが、投資対象としての特性については株や貴金属でも代替可能と言う事。

 

競争の原則

 一般に超過利潤競争を惹起し、競争超過利潤を減少させ、結果的にこれを消滅させる傾向を持つ。

アドバンテージは永続的なものではなく、ダンピング競争に陥り、いずれは平準化されるという事。

 

変動の原則

 不動産の鑑定評価にあたっては価格形成要因が常に変動の過程にあることを認識し、各要因間の相互因果関係を動的に把握すべきである。

効用・相対的希少性・有効需要の三者は常に変動している。

 

予測の原則

 不動産の価格も、価格形成要因の変動についての市場参加者による予測によって左右される。(ex:新駅予定地の地価高騰)

「変動の原則」「予測の原則」は不動産価格の動向分析の基礎なる。

事実よりも先に予測に基づいて不動産の需要は増減し、需要の予測基づいて供給もまた増減する。

 

収益逓増及び逓減の原則

 投資額を継続的に増加させると収益増加額は逓増していくが、ある点で逓減に転じる。

3階建までは収益増加幅は増えるが4階建にすると増加幅が少なくなる等。

 

寄与の原則

不動産の「ある部分」がその不動産全体の収益獲得に寄与するため、不動産全体の価格に影響する。

よって寄与の原則は最有効使用の原則と密接に関連しており、

ある部分への追加投資の観点から「収益逓増及び逓減の原則」、

バランスの観点から「均衡の原則」とも関連している。

賃貸マンションの住居部分は共用部分に比べて収益獲得への寄与度が高い等。寄与度を考慮して追加投資や不動産の内部要素の均衡について検討する必要がある。

 

収益配分の原則

土地、資本、労働及び経営の各要素の結合によって生じる総収益はこれらの各要素に配分される。

したがって資本、労働及び経営以外の部分は配分が正しく行われる限り、土地に帰属する。

総収益(大家から見た賃料)は土地代に加えてテナントの収益(資本・労働・経営)によって算出される。

 

◆論点◆

 

・諸原則の必要性

不動産の価格は効用、相対的希少性、有効需要の三者に影響を与える諸要因の相互作用によって形成されるが、その形成の過程を考察するとき、そこに基本的な法則性を認めることができる。

不動産の鑑定評価は、その不動産の価格形成要因を追求し、分析する事を本質とするものであるから、これらの法則性を認識し、かつこれらを具体的に現した不動産の価格に関する諸原則を活用するべきである。

これらの原則は一般の経済法則に基礎を置くものであるが、鑑定評価の立場からこれを認識し、表現したものである。

なお、これらの原則は孤立しているものでなく直接的または間接的に相互に関連しているものであることに留意しなければならない。

不動産鑑定評価において、上記の諸原則を活用することではじめて客観的で理論に裏づけされた鑑定評価に至ることが可能となる。

 

・最有効使用の原則

不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用(最有効使用)を前提として把握される価格を標準として形成される。

この場合の最有効使用は現実の社会情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものである。

なお、ある不動産の現実の使用方法は必ずしも最有効使用に基づいているものではなく、不合理または個人的な事情による使用方法のために、当該不動産が十分な効用を発揮していない場合があることに留意すべきである。(最有効使用の原則)

不動産は人文的特性として用途の多様性を有しているので、様々な使用方法を前提とする需要が競合する事になるが、最終的に最も高い価格を提示する需要者が取得する事となる。

つまり最有効使用を前提とした需要者が最も高い価格を提示することが可能となるため、不動産の価格は最有効使用を前提に形成される。

 

・均衡の原則、適合の原則

不動産の価格は効用、相対的希少性、有効需要の三者に影響を与える諸要因の相互作用によって形成されるが、その形成の過程を考察するとき、そこに基本的な法則性を認めることができる。

不動産の鑑定評価は、その不動産の価格形成要因を追求し、分析する事を本質とするものであるから、これらの法則性を認識し、かつこれらを具体的に現した不動産の価格に関する諸原則を活用するべきである。

これらの原則は一般の経済法則に基礎を置くものであるが、鑑定評価の立場からこれを認識し、表現したものである。

なお、これらの原則は孤立しているものでなく直接的または間接的に相互に関連しているものであることに留意しなければならない。

不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用(最有効使用)を前提として把握される価格を標準として形成される。

この場合の際有効使用は現実の社会情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものである。

なお、ある不動産の現実の使用方法は必ずしも最有効使用に基づいているものではなく、不合理または個人的な事情による使用方法のために、当該不動産が十分な効用を発揮していない場合があることに留意すべきである。(最有効使用の原則)

不動産の収益性または快適性が最高度に発揮されるためには、その構成要素の組み合わせが均衡を得ていることが必要である。したがって、不動産の最有効使用を判定するためにはこの均衡を得ているかどうかを分析する必要がある。(均衡の原則)

不動産の収益性または快適性が最高度に発揮されるためには、当該不動産がその環境に適合していることが必要である。したがって、不動産の最有効使用を判定するためにはその環境に適合しているかどうかを分析する必要がある。(適合の原則)

このように均衡の原則、適合の原則は最有効使用の原則と関連の深い原則であると言える。また、最有効使用の原則、均衡の原則、適合の原則は不動産の鑑定評価に特有の原則である。

 

・予測の原則

不動産の価格は効用、相対的希少性、有効需要の三者に影響を与える諸要因の相互作用によって形成されるが、その形成の過程を考察するとき、そこに基本的な法則性を認めることができる。

不動産の鑑定評価は、その不動産の価格形成要因を追求し、分析する事を本質とするものであるから、これらの法則性を認識し、かつこれらを具体的に現した不動産の価格に関する諸原則を活用するべきである。

財の価格はその財の将来の収益性等の予測を反映して定まる。不動産の価格も、価格形成要因変動についての市場参加者の予測によって左右される。(予測の原則)

予測の原則は変動の原則と共に地域分析及び個別分析をはじめ、鑑定評価手法の適用にあたって重要な指針となり、不動産の価格動向分析の基礎となるものである。

地域分析とは対象不動産がどのような地域に存するか、その地域はどのような特性を有するか、市場はどのような特性を有するか、それらの特性は地域内の不動産の利用形態と価格形成にどのような影響力を分析し、判定することをいう。不動産の属する地域は固定的なものではなく、地域要因もまた常に変動するものであることから、地域分析にあたっては標準的使用の現状のみならず、将来の動向もあわせて分析し、変動・予測の原則を用いて標準的使用を動態的に判定しなければならない。

個別分析とは対象不動産の個別要因が利用形態と価格形成にどのような影響力を持っているかを分析し、その最有効使用を判定することをいう。不動産の最有効使用の判定にあたっては、予測の原則を活用して以下の動態的分析に係る事項に留意すべきである。

・使用収益が将来相当の期間にわたって持続し得る使用方法であること

・効用を十分に発揮し得る時点が予測し得ない将来でないこと。

・価格形成要因は常に変動の過程にあることを踏まえ、対象不動産の使用方法が変化する可能性がある事を勘案する事。

 

 

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