・土地区画整理事業の流れ
施工の決定→事業計画の認可→換地計画→施工→換地処分の公告
★土地区画整理事業は「都市計画区域内」で「公共施設の整備改善」「宅地利用増進」を目的として行います。
・施行者
民間施行:個人、「土地区画整理組合」、区画整理会社
公的施行:地方公共団体、国土交通大臣、独立行政法人都市再生機構等
★公的施行の場合は「必ず」「都市計画事業」となり、「市街地開発事業」となります。
(つまり、「市街化区域」または「非線引区域」においてのみの施行となります。)
施行者は「規約」・事業計画を作成し、施工地区内の宅地の権利者「全員」の同意を得て、知事へ事業計画認可申請をします。
(全員の同意を得ているので事業計画の公衆の縦覧は不要です。)
※一人施行の場合は「規約」ではなく「規準」が定められます。
宅地の所有権者、借地権者は「7人以上」共同して「定款」、事業計画を定め、
「知事の認可」「全所有権者3分の2以上の同意」「全借地権者の3分の2以上の同意」を受けて組合を設立できます。
・公衆の縦覧
知事は認可の申請があった場合市町村長にその事業計画を「2週間」縦覧させなければなりません。
・利害関係者の権利
利害関係者は縦覧期間満了日翌日から起算して2週間以内までは、施工者に意見書を提出できます。
(縦覧開始から意見書の提出は可能なので、計4週間猶予があるということになります。)
・組合員の構成
施行地区内の宅地の所有権者、借地権者全員で構成されます。(借家権者等は含みません。)
組合は経費として「賦課金」を「参加組合員以外」の組合員に対して徴収できます。
・参加組合員
いわば土地の区画整理のプロです。(独立行政法人都市再生機構等。)
賦課金とは別に、「分担金」を負担する場合があります。
★ノウハウ活用はもちろん、参加組合員に「保留地(余った土地)」を売却することで早期に事業資金を捻出する目的もあります。この買取代金を「負担金」と呼びます。
・各種金銭の取り扱い
賦課金の滞納者に対する督促は、期限までに滞納者が納付しない場合、市町村長に対し申請し、徴収を行います。
★これらの金銭の徴収に関する権利は「5年」で消滅時効となります。
★賦課金の納付は「相殺」をもって組合に対抗することができません。(工事資金枯渇防止の為。)
・解散
組合の解散には知事の「認可」が必要です。
※組合施工の場合、「7人以下」になる事は解散自由に当たりません。
「施行規程」(個人は規約、組合は定款)と事業計画を定め、そのうちの「設計の概要」について、
都道府県は「国土交通大臣」市町村は「都道府県知事」の「認可」を受けなければなりません。
★事業計画は4つのセグメントで構成されており、そのうちの一つで済むわけですから民間施行よりも認可基準が緩いと言えます。
・土地区画整理審議会
「公的施工の場合」に、施工地区の権利者の意見が反映されるように設置される機関です。
・評価員
知事、市町村長は「土地区画整理事業ごとに」「審議会の同意」を得て、「3人以上の評価員」を選任しなければなりません。
※「土地区画整理審議会」の中から必ず選任するわけではありません。(有識者であれば良いという事です。)
・換地照応の原則
「換地」と「従前の宅地」は照応するように定めなければならない原則です。
(不公平が無いよう、換地は従前の宅地のクオリティーを確保するようにしなければなりません。)
原則の例外:公共施設(特別の考慮を払えばOKです。)、増換地(公的施工の場合のみで、過小宅地とならないようにするための換地です。)
・減歩
土地所有者から一定割合の土地を提供してもらい、公共施設用地などに充てることです。
※レアケースですが、公的施行において、減歩によって宅地の価額が下落した場合「減価補償金」として下落分の金銭を交付しなければなりません。
・換地を定めない場合
宅地所有者の申し出、同意がある場合は換地を定めないことができます。(宅地所有者は換地処分地から立ち去る事を意味します。)
・清算金
換地完了後、宅地価額が上昇した者から下落した者へ差額を調整するために支払う金銭です。
・保留地
換地計画において費用に充当(先述した参加組合員への負担金等)したり、
公園等を作るといったような「定款等の目的」を達成するための土地です。
(公的施行の場合は費用充当のみを目的として保留地を設定できます。)
※保留地の処分方法は総会の議決事項であり、定款の記載事項ではありません。
・換地計画手続
「事業計画」と同様、「個人施行者以外の施行者」は「2週間公衆の縦覧」に供します。
利害関係人も「事業計画」と同様、「計4週間」意見書の提出が可能です。
・仮換地指定(一時引越し先)
施工者は換地処分前に、①工事のために必要がある場合、②換地計画に基づく換地処分のために必要がある場合は仮換地の指定を行うことができます。
仮換地指定によって従前の宅地の使用収益はできなくなり、施行者の管理下におかれます。
その代わり従前の宅地の所有者は仮換地の効力発生日から仮換地の使用収益ができるようになります。
(仮換地の使用収益開始日が別に定められており、効力発生日との間にラグがある場合でも従前の宅地は使用できなくなります。)
(仮換地の使用・収益が難しい場合は補償金が支払われます。)
※所有権については従前の宅地ままなので、「売却・担保設定」は可能です。
※「仮換地所有権者」は仮換地の「売却・担保設定」が可能です。(権利移動はせず使用収益できる場所が移転するという事です。)
・仮清算金
清算金の確定は換地処分後なので、必要な場合は換地処分中に仮清算金を支払うことができます。
・土地区画整理事業に伴う行為制限
測量・調査のための立ち入りは、個人、組合、区画整理会社は市町村長の認可を受けた場合に立ち入りが可能です。
(公的施行の場合は市町村長の認可不要です。)
この時、立ち入りによって他人に損害を与えた場合は損失の補償が必要です。
また、他人の占有地に立ち入ろうとする者は「3日前」までに占有者に通知する必要があります。
施行者は従前の宅地上の建築物などを移転・除却でき、この場合も移転・除却よって他人に損害を与えた場合は損失の補償が必要です。
事業計画や換地計画における「関係簿書」は「利害関係者」のみが閲覧請求することができます。
・建築行為等の制限
「事業計画等の認可の広告」があった後に以下の行為は知事等の許可を受けなければなりません。
土地の形質変更、建築物・工作物の新築、増改築、移動困難な物件の設置・堆積
・換地処分の効力
①公告の日の終了時(24時)
仮換地の指定の効力が消滅し、建築行為等の各種制限も消滅します。
(仮換地に付随する行使の利益のなくなった地役権等の権利も消滅します。)
②公告の日の翌日(0時)
換地が従前の宅地とみなされ、清算金が確定し、保留地を施行者が取得します。
また、設置された公共施設の管理が市町村に属します。
※施行者は換地処分の公告前でも、「公共施設」に関する工事が完了していれば「管理予定者」に引き継ぐことが可能です。
※換地処分は関係権利者に通知して行います。
・換地計画の閲覧
利害関係者から換地計画に関する図書の閲覧の請求があった場合、正当な理由がある場合を除いて施工者はこれを拒むことができません。
(あくまで利害関係者のみで、万人が閲覧できるわけではありません。)