都市再開発事業とは低層の木造建築物が密集する地域で建物を全面的に除却し、
新たに「施設建築物」(大規模ビル)を建てる事業です。
流れ:施行の決定→事業計画の認可→権利変換計画→権利変換処分→施設建物の建築
※換地処分と違い、「建物を建てる前に」(工事前に)権利を譲渡するのが権利変換処分です。
※換地処分と違い、複数の土地の筆をまとめるのも都市開発法の特徴です。
・市街地再開発事業(駅前再開発)
原則、「都市計画事業」として施行されます。
※個人施行の場合は都市計画事業として行わなくてもOKです。
第一種:権利変換方式(古い土地建物所有者が再開発ビルに入る)←「原則」
第二種:用地買収方式(古い土地建物所有者から買取)←災害時、緊急性が高い場合の「例外」
※個人、組合施行の場合は「第二種」の施行はできません。
※再開発会社の場合は一種、二種共に施工可能です。
・個別利用区制度
既に「高度利用を実現している建築物」や「歴史的建造物」は、「施設建築敷地」(再開発事業区域内)で残存させたり移転させたり出来る制度です。
(つまり再開発事業後の該当地域は「施設建築敷地」と「個別利用区」に分かれます。)
★施行地区内の宅地所有権者、借地権者は、「自分の宅地を個別利用区に含むよう」に施行者へ申し出ることができ、
施行者は希望に沿えるかどうか(権利変換計画における個別利用区の範囲を超えるか超えないか)を遅滞なく勘案し、申し出に応じるか否かを決定しなければなりません。
・個人施行
施行者は「規約」・事業計画を作成し、施工地区内の宅地の権利者「全員」の同意を得て、知事へ事業計画認可申請をします。
(全員の同意を得ているので事業計画の公衆の縦覧は不要です。)
※一人施行の場合は「規約」ではなく「規準」が定められます。
・組合施行
宅地の所有権者、借地権者は「5人以上」共同して「定款」、事業計画を定め、
「知事の認可」「全所有権者3分の2以上の同意」「全借地権者の3分の2以上の同意」を受けて組合を設立できます。
・公衆の縦覧
知事は認可の申請があった場合市町村長にその事業計画を「2週間」縦覧させなければなりません。
・利害関係者の権利
利害関係者は縦覧期間内(2週間)までは、施工者に意見書を提出できます。
(縦覧開始から意見書の提出は可能なので計4週間猶予があるということになります。)
・組合員の構成
施行地区内の宅地の所有権者、借地権者全員で構成されます。
組合は経費として「賦課金」を「参加組合員以外」の組合員に対して徴収できます。
宅地・借地権が共有持分の場合は「全員で1人の組合員」とみなしますが、組合員が共有者のみで構成される場合は、「共有者1人につき1人」の組合員とみなします。
・特定事業参加者
いわば市街地再開発事業のプロです。(独立行政法人都市再生機構等)賦課金とは別に、「分担金」を負担する場合があります。
★第一種市街地再開発事業の場合、参加組合員は定款に定めなければなりません。
・各種金銭の取り扱い
組合は、賦課金・負担金の滞納がある場合は「市町村長」に対し徴収を請求できます。(直接請求はできません。)
★これらの金銭の徴収に関する権利は「5年」で消滅時効となります。
★賦課金の納付は「相殺」をもって組合に対抗することができません。(工事資金枯渇防止の為と言えます。)
・地方公共団体施行
「施行規程」(個人は規約、組合は定款)と事業計画を定め、
そのうちの「設計の概要」について都道府県は「国土交通大臣」市町村は「都道府県知事」の「認可」を受けなければなりません。
・審査委員
権利変換計画等が公正妥当であるものかを審査する「3人以上」の委員で、「総会」にて選任します。(民間施行の場合のみ。)
※「個人施行」の場合、「審査委員の過半数の同意」が必要です。
・組合の解散
総会の議決による解散の場合は「権利変換期日前」に解散する必要があります。
総会の議決の場合も、事業の完成の場合も「知事」の「認可」と「債権者」の「同意」が必要です。
・事業代行制度
事業継続が困難になった場合は知事が引き継ぐ制度です。(民間施行のみ適用の制度です。)
事業代行の開始の申請は総会の議決を経る必要があります。
・再開発会社施行
★種々の条件は組合施行と同様です。
※特定事業参加者:組合施行で言うところの「参加組合員」です。
・市街地再開発審査会(土地区画整理事業でいう土地区画整理審議会)
「公的施行の場合」に、施行地区の権利者の意見が反映されるように設置される機関です。
・評価員(土地区画整理事業とほぼ同様)
知事、市町村長は「土地区画整理事業ごとに」「審議会の同意」を得て、「3人以上の評価員」を選任しなければなりません。
※「土地区画整理審議会」の中から必ず選任するわけではありません。(有識者であれば良いという事です。)
※施行規定で「特定事業参加者」や「事務所の所在地」について定める。
・建築行為等の制限(土地区画整理事業と同様)
「事業計画等の認可の広告」があった後に以下の行為は知事等の許可を受けなければなりません。
土地の形質変更、建築物・工作物の新築、増改築、移動困難な物件の設置・堆積
・権利変換手続開始の登記
登記後の権利処分は「施行者の承認」を得なければならず、承認を得ないでした処分は施行者に対抗できません。
(新所有者は施行者に所有権を認めてもらえないという事です。)
・権利変換計画
原則、施設建築物敷地は「一筆」ですが、例外として利害関係者全ての同意を得た場合は二筆以上にすることが可能です。
また、宅地の所有者が僅少である場合や特別の事情がある場合も二筆以上にすることが可能となります。
施設建築物の一部等(ワンフロアと敷地利用権)は施行区内の借地権者・建物所有者に与えられるように定めます。
(敷地利用権が無いと専有部分に出入りできませんから当たり前ですね。)
・権利変換を希望しない場合
宅地所有者は事業計画認可の日から「30日以内」に権利変換を希望しない申出ができます。
・権利変換計画の認可手続
事業計画と同様、「個人施行者以外の施行者」は「2週間公衆の縦覧」に供します。
※換地計画と違い、「施行区域内の権利者全て」の「同意」を得た場合は縦覧不要です。
※利害関係人は「縦覧期間内のみ」「施行者へ」意見書の提出が可能です。
※民間施行、市町村施行は都道府県知事が、その他公的施行は国土交通大臣が認可します。
・権利変換の効力
施行地区内の土地:従前の宅地所有者(権利変換希望者)に帰属します。
施行地区内の建物:施行者に帰属します。(これから壊して建てるので)
担保権等:「登記」されている担保権等は権利変換後、権利変換希望者に帰属します。
・権利変換の登記
施工者は「権利変換期日後」「遅滞なく」登記の申請をしなければなりません。
・特定建築者
施行者が施設建築物の建築を行うに際し、「知事の承認」を得ることで「特定建築者」に行わせることができます。