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鑑定理論

不動産鑑定評価基準 総論第1章-基本的考察-

 

 

不動産と価格

 

 

不動産のあり方

不動産のあり方とは「街並み」の事で、あり方を見れば不動産がどのように構成され、

不動産が人間にどのように貢献しているかがわかる。

不動産のあり方は「自然的、社会的、経済的、行政的」な要因の相互作用によって決定される。

不動産のあり方が価格を決定し、不動産の価格があり方を決定している。

 

不動産の価格

効用、相対的希少性、有効需要」の三者の相関結合によって生ずる不動産の経済価値を表す。

効用:その不動産が「役立つ」かどうか

相対的希少性:存在量が「有限」であり、「対価」を必要とするかどうか

有効需要:「購入資金を持った買主」が市場に存在するのかどうか

★三者と不動産価格は「二面性」の関係にある。(価格の上昇が三者の特性を引き上げる。

 

 

 

不動産とその価格の特徴

 

 自然的特性(土地そのものが有する本来的特性)

地理的位置の固定性・不動性(非移動性)・永続性(不変性)・不増性・個別性(非代替性

いずれも「固定的」で「硬直的」な特性。

 

 人文的特性(人間と土地の関係から生じる特性)

用途の多様性(用途の併存の可能性)・併合および分割の可能性・社会的、経済的可変性

いずれも「可変的」で「伸縮的」な特性。

 

 不動産の地域性

不動産は単独で価格決定されるのではなく、地域の特性の影響によって価格が変動・決定する。

地域の特性

地域は特定の自然的、人文的特性の共通点を持った不動産の集合であり、

一般に不動産は異なった観点から把握される地域に「重なって」属している。

 

 

 不動産の価格の特徴

I:不動産の経済価値は「交換の対価」である「価格」や「用益の対価」である「賃料」で表される。

価格:不動産の価格は、不動産が存続する「全期間」に渡る使用収益への対価。

賃料:不動産の価格は、賃貸借契約期間等の「一部の期間」の使用収益への対価。

→「期間概念」が異なる。

→価格と賃料にはいわゆる、「元本と果実」との間に認められる「正の相関関係」を認めることができる。

 

I I:不動産の価格、賃料は所有権、賃借権といった権利の対価又は経済的利益の対価であり、

2つ以上の権利利益が同一不動産上に存する場合はそれぞれの権利利益について価格、賃料が形成され得る。されない場合もある。

 

III:地域は拡大縮小、発展衰退といった変化の過程にあるものである為、不動産の価格は「常に変化の過程にある」ものと言える。

(価格決定においては過去・現在・未来を考慮する必要がある。)

 

IV:不動産の取引価格には「個別的な事情」が織り込まれているケースが多々ある為、必ずしもその不動産の適正な価格を表しているとは限らない。

したがって、不動産の適正な価格については不動産鑑定士の鑑定評価が必要となる。

 

 

 

不動産の鑑定評価

 

 

 鑑定評価の意義

形式:不動産の鑑定評価は「経済価値」を判定し、「貨幣額」を持って表示すること。

役割:社会の価格秩序の中で不動産の価格、賃料の位置付けを指摘すること。

主体:不動産の鑑定評価とは不動産価格における専門家の判断・意見である。

過程:不動産の鑑定評価とは価格形成過程を追究・分析すること。

市場代行機能:鑑定評価とは、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格を不動産鑑定士が把握する作業と言える。

 

 

不動産鑑定士の責務

 

 

土地は、「土地基本法に定める土地についての基本理念に即した取引が行われるべきであり、

投機的取引の対象とされてはならない。鑑定士はこれを踏まえて鑑定評価を行わなければならない。

 

不動産鑑定士は、「不動産の鑑定評価に関する法律」によって認められ、専門家としての地位を付与される。不動産鑑定士はその社会的公共的意義を理解し、

その資格を自覚し、的確かつ誠実な鑑定評価の実践を持って社会一般の信頼と期待に報いなければならない。

また、正当な理由なく職務上取り扱った秘密を他に漏らしてはならず、(守秘義務

次に述べる事項に関して資質の向上に努めなければならない。

・鑑定評価の進歩改善に努力すること

依頼者の信頼を高めるように努めること。(鑑定評価書の交付だけでなく口頭説明のスキルも高める。)

公平妥当な態度を保持すること。(依頼者プレッシャーに負けない。)

・専門職業家としての注意を払うこと。

・自己の能力を超えている、縁故もしくは特別な利害関係を有する場合は「原則として」鑑定評価を引き受けてはならないこと。

原則とは、あくまで倫理的要請であって法律上禁止されているわけではないということ。

 

 

◆論点◆

 

 

・不動産の価格と賃料の相関関係とそれに密接な関連性を持つ鑑定手法について

 

不動産の経済価値は一般に交換の対価である価格として表示されるとともに、その用益の対価である賃料として表示される。

不動産の価格は不動産が存続する全期間にわたって、使用収益することができるという経済価値を貨幣額で表示したものであるのに対し、

不動産の賃料は上記全期間のうちの一部の期間において、賃貸借契約等に基づき使用収益することができるという経済価値を貨幣額で表示したものである。

そのため、価格と賃料の間には一方が高くなれば他方も高くなるという、いわゆる元本と果実の間に認められる正の相関関係を認めることができる。

この相関関係と密接な関係のある鑑定評価の手法として、価格においては収益還元法が、新規賃料においては積算法が、継続賃料においては利回り法が挙げられる。

収益還元法は対象不動産が将来生み出すであろうと期待される総収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法である。

積算法とは対象不動産についてまず価格時点における基礎価格を求め、これに期待利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して対象不動産の試算賃料を求める手法である。

利回り法は対象不動産の基礎価格に継続賃料利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して対象不動産の試算賃料を求める手法である。

 

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