会計学総論II
財務会計の概念フレームワークについて
(国際会計基準に追随させるための、企業会計原則のこれからを考えるための概念)
意義:概念フレームワークは企業会計の前提や概念を体系化したもの。
役割:会計基準の概念的な基礎を提供する事、将来の基準開発に指針を与える事。
ディスクロージャー制度と財務報告
経営者と投資家の間に存在する情報の非対称性を緩和し、それが生み出す市場の機能障害を解決するため、経営者の私的情報の開示を社会的に標準化する事で投資活動を促進させる。
財務報告の目的
投資家による企業価値の評価に役立つような財務状況(企業の投資ポジションとその成果)を開示する事にある。投資家は自己の責任で将来の企業価値を予想し、現在の企業価値を判断する。
→財務報告の内容は、「意思決定有用性」が重要となる。
包括利益と純利益
「リスクからの解放」を重視して判断する。
Ex:売買目的有価証券評価益は純利益や包括利益に含むが、持合株は含まない。(純資産として計上する)
※利益確定タイミングが明確かどうかが判断基準となる。
取得原価
取得原価とは資産の取得に要した現金または現金同等物の金額、または取得のために犠牲にされた財やサービスの金額をいう。
工事契約に関する会計基準
工事完成基準
工事が完成したタイミングで100%利益を計上する。
工事進行基準
工事の進捗度に応じて利益を計上する。
★進捗部分について「成果の確実性」が認められる場合は、工事進行基準を採用する。
成果の確実性とは、工事収益総額、工事原価総額、決算日における工事進捗度が明確である事をいう。
工事損失の会計処理
工事損失引当金の設定による損失の計上が可能。
設定要件
・将来の特定の費用又は損失であること
・その発生が冬季以前の事象に起因すること
・その発生の可能性が高いこと
・その金額を合理的に見積もることができること
リース会計基準
リース取引
貸し手(レッサー)が物件の使用・収益権利を借り手(レッシー)に与え、レッシーはレッサーにリース料の支払いをする。
ファイナンス・リース取引
中途解約ができないリース取引。
(解約不能)
また、借り手側がリース契約の目的物から得られる収益や発生する費用を負担する。
(フルペイアウト)
リース資産の会計処理
借り手:リース料総額より利息相当額を引いた額をリース資産として計上する。
※所有権移転ファイナンス・リース取引に関わるリース資産の減価償却は、自己所有の固定資産と同一の方法で行う。(移転しない取引の場合はリース期間を耐用年数として減価償却を行い、残存価額をゼロとして算定する。)
→所有権移転の有無を注記する必要がある。
オペレーティング・リース取引
中途解約可能なリース取引。(単なる賃貸借契約)
1年以内のリース期間に係わるものと、1年以降に係わるものを分けて注記する必要がある。
資産除去債務
例えば30年後に除去予定の有形固定資産について、30年後の除去費用を債務として考える。
現行制度では、このような有形固定資産と除去費用は資産と負債の両建てで計上する。
※除去とは売却、廃棄、リサイクル等をいい、転用や用途変更は自ら使用を継続しているため除去には含まれない。
具体的には、有形固定資産の取得価額に、資産除去債務を現在価値に割戻した金額を加算して資産とし、除去債務の現在価値金額を負債として計上する。
自己株式・新株予約権・ストックオプション
自己株式
会社が以前に発行した株式を会社が再取得し、保有している場合の当該株式をいう。
自己株式は取得原価をもって純資産の部の株主資本から控除して計上する。
外貨換算会計
外国通貨については「決算時」の為替相場による円換算を行い、取得時レートとの換算差額については為替差損益として処理する。
子会社株式や関連会社株式といった売買目的でない外貨建て資産に関しては、「取得時」の為替相場による円換算を行う。
※その他有価証券については時価評価である為、「決算時」の為替相場による円換算を行う点に注意。
四半期財務諸表
予測主義
実績主義
連結財務諸表
子会社の連結範囲と決定基準
持株基準
議決権の過半数を所有していれば親会社子会社の関係として認める。
支配力基準
議決権の過半数を所有していれば良いのは勿論、他の会社の意思決定機関を実質的に支配している場合でも親会社子会社の関係として認められる。
※持株基準だと意図的に連結外しが可能になってしまう為、現行制度上では支配力基準が採用されている。