不動産証券化を投資家目線で考えたとき、「株式と化した不動産」であり、「株式を購入している」意味合いが強いです。
一般的に不動産投資とはアパート・マンションを所有し、家賃収入を得るものです。
本記事では不動産証券化を学ぶためのベースとして、実物不動産の「投資商品としての特徴」について解説します。
◆ミドルリスク・ミドルリターン
元本保証の「国債」やデットファイナンスである「社債」よりも少しリスキーではあるものの、エクイティファイナンスである「株式」よりはリスクが低いのが不動産投資です。
不動産は株式会社とは違い、「明日突然倒産する」リスクはありません。
(明日災害などで滅失するリスクはありますが、保険でリスクヘッジが可能です。)
◆購入、投資期間中の利回り向上が能動的に可能である
株式、社債、国債はインカムゲインのみ考えた場合保有期間中利回りは投資先に委ねる必要がありますが、不動産投資は自身の工夫で家賃等の収入(キャッシュフロー)アップが可能です。
更に売却時は土地・建物の価値はもちろん、収益性も勘案し売価が決定されますので、キャッシュフローの向上は売却価格(キャピタルゲイン)の向上にも貢献します。
ただし、不動産は個別性があり、定価がありません。(価格決定が属人的になります。)
よってキャピタルゲインに関しては他の投資商品に比べ目処を立てづらい側面があります。
◆不動産投資におけるデット投資とエクイティ投資
デット投資は不動産を購入する者に融資する(負債)投資を指し、エクイティ投資は自己資金で実物不動産を購入する投資です。
不動産ファンドにおけるエクイティ投資にはインカムゲイン目的の「コア」
インカムゲインに加えてバリューアップによる売却価格増加を目論み、キャピタルゲインも狙う「バリューアッド」
市場動向分析による購入、キャピタルゲイン狙いの「オポチュニスティック」の3つに、リスクとリターンの高低により分類されています。
◆不動産投資家の種類
個人、企業、機関投資家の3つに分類されます。
機関投資家には年金基金、銀行、信託銀行、保険会社等があります。
◆不動産投資の多様化
不動産証券化によって通常の不動産投資(特にエクイティ投資)において懸念される流動性リスクの軽減が可能となったのは明白ですが、
証券化が浸透してきた事の原因として不動産投資対象が多様化していることも考えられます。居住用のアパート、マンション(レジデンス)やオフィスだけではなく、商業施設やロジスティクス(倉庫等)、ホテル・旅館、レジャー・ヘルスケア施設等も証券化商品に組み込まれています。
割合としてはオフィスが多くを占め、住居(レジデンス)・ホテル・商業施設が同程度、最近ではeコマース需要もあって倉庫が増加傾向にあります。
J-REITももちろん投資先の内訳の情報開示はされておりますので、オフィスだけでなく様々な投資先が盛り込まれている銘柄を選択することで分散投資効果を得られるのではないでしょうか。