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不動産まめ知識

鑑定理論

不動産鑑定評価基準 総論第7章-鑑定評価の方式- Vol.1(原価法)

 

 

価格

 

価格の三面性

費用性:コストはいくらか 市場性:いくらで取引されているか 収益性:いくら儲かるか

鑑定評価の方式

原価方式:費用性 比較方式:市場性 収益方式:収益性

価格を求める手法:試算価格 賃料を求める手法:試算賃料

価格を求める手法

原価法:積算価格 取引事例比較法:比準価格 収益還元法:収益価格

事例の収集

原価法:建築事例 取引事例比較法:取引事例 収益還元法:収益事例

※収集事例は投機的取引であってはならない。

 

 

事例選択4要件(全ての要件を満たす必要がある。

 

 

対象不動産の価格:特殊な事情を含まない、合理的な市場を前提とした、価格時点における、対象不動産の地域要因・個別的要因を反映した価格

取引事例等の価格:特殊な事情を含むことのある現実の市場での、取引等の時点における、事例不動産の地域要因・個別的要因を反映した価格

★不動産の価格は日々変動していますから、時点を設定したうえでの分析が重要ということです。

★事例の採用にあたっては「事情補正」「時点修正」「要因比較」が必要となる場合があります。

 

1.「近隣地域」または「同一需給圏内の類似地域内」もしくは「近隣地域の周辺の地域」に存する最有効使用と標準的使用が「一致」する不動産であること。

あるいは、最有効使用が標準的使用と「異なる」「同一需給圏内の代替競争不動産」であること。

★異なる、という事は近隣地域等から競合を選択する事が難しい為、範囲を広げるべきという事です。

また、近隣地域の制約が「著しく小さい」という意味であり、近隣地域の制約はゼロではありません。

 

2.取引事例等に係る取引等の事情が正常なものと認められるものであること又は正常なものに補正する事ができるものであること。

※つまり、補正が可能であれば特殊な取引事例も選択可能であるということ。

 

3.時点修正をする事が可能なものであること。(時点修正が難しい、大昔のものでないこと。

 

4.地域要因の比較、個別的要因の比較が可能なものであること。(同種別、同類型

 

 事情補正

取引事例等に係る取引等が特殊な事情を含み、価格等に影響を及ぼしているときは適切に補正しなければならない。

(売り急ぎ、買い急ぎ等、特殊な事情によって取引価格が形成され、取引事例となっている場合があるので十分に調査しなければならないということ。)

 

 時点修正

取引等の時点(価格時点より過去)が価格時点と異なることにより価格水準に変動があると認められる場合は価格時点の価格等に修正しなければならない。

 

 地域要因・個別要因の比較

取引事例の不動産が「近隣地域」に存する場合は「個別的要因」の比較を、

同一需給圏内の類似地域等近隣地域の周辺の地域を含む)に存するもの、代替競争不動産である場合は「地域要因」「個別的要因」の比較を行う。

 

 

原価法

 

 価格時点における対象不動産の「再調達原価」を求め、この再調達原価について「減価修正」を行なって試算価格を求める手法。(積算価格)

対象不動産が土地のみの場合造成地・埋立地)でも、再調達原価を適切に求める事ができるのであれば原価法を採用できる。

 

再調達原価

対象不動産を価格時点において再調達することを想定としたものであるが、違法建材を使用していた等、想定が困難な場合は同等の有用性を持つものに置き換えて求める「置換原価」を再調達原価とする事ができる。

※置換原価は一般的な建築物には有効である一方、神社・仏閣のような特殊な建築物については安易に使用するべきではない。

・建物の再調達原価

建設請負により発注者が請負者に対して支払う「標準的な建設費」と「通常の付帯費用」を加算して求める。

付帯費用とは「設計監理料」「資金調達費用」「開発リスク相当額」等を指す。

自己建設の場合でも建築請負を想定して各種費用を求める。

 

・土地の再調達原価

その素材となる土地の「標準的な取得原価」に「標準的な造成費」と「通常の付帯費用」を加算して求める。

なお、土地についての原価法の適用について、宅地造成直後等の対象不動産の地域要因と価格時点の地域要因を比較し、

利便性の向上等で社会的、経済的環境の変化が価格水準に影響を与えている場合はそれを「熟成度」として加算する事ができる。

 

・土地建物の再調達原価

自建、貸家敷

更地の価格」に通常の付帯費用と建物の再調達原価を加算して求める。

※更地の価格とは「既成市街地」に存する土地の価格を意味する。(造成・埋立費用は考慮しない。

借地権付建物

借地権の価格」に通常の付帯費用と建物の再調達原価を加算して求める。

 

直接法

・総価格積算法

価格時点における「直接工事費」を積算し、「間接工事費」「一般管理費等」を加えて標準的な建設費を求め、付帯費用を加算して再調達原価を求める。

・変動率適用法

建築時点における上記各種費用の明細(過去の建築工事費)を分析し、必要に応じて時点修正を行なって再調達原価を求める。

 

間接法

実際の建設事例に対して「事情補正」「時点修正」「要因比較」を行って再調達原価を求める。

直接法、間接法は「必要に応じて」「併用」する。

 

減価修正

減価の要因

物理的要因:老朽化や偶発的損傷

機能的要因:機能の陳腐化(時代錯誤)、「建物と敷地の不適応」等

経済的要因:近隣地域の衰退、「不動産とその付近の環境との不適合」等

これらは相互に関連し、影響を与え合いながら作用している。

 

・耐用年数に基づく方法

耐用年数に対する経過年数に応じて減価していく方法。

耐用年数から経過年数を引いた年数が「経済的残存耐用年数」となる。

※税法上の耐用年数等を参考にして安易に、機械的に耐用年数を設定してはならない。

 定額法:減価額が、「毎年一定額」

 定率法:減価額が、各年初の積算価格に対して「毎年一定率」

対象不動産の用途や利用状況に即して方法を決定する。

 

・観察減価法

毎年一定額、一定率ではなく、直接調査して減価額を算出する方法。

 

耐用年数に基づく方法と観察減価法はそれそれの短所を補完するために「必ず併用」する。

◆論点◆

 

・原価法の有効性

不動産の価格を求める鑑定評価の基本的な手法は、原価法、取引事例比較法、収益還元法に大別される。

原価法は価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格(積算価格)を求める手法である。

原価法は、不動産の再調達に要する原価に着目する原価方式の考え方を中心としており、対象不動産が建物または建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができる場合に有効である。また、対象不動産が土地のみである場合でも、最近において造成された造成地、埋立地等で再調達原価を適切に求めることができる場合は原価法を適用することができる。

一方で既成市街地に存する土地の場合は再調達原価を求めることができないため、原価法を適用することができない。

 

・再調達原価とは

原価法は価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格(積算価格)を求める手法である。

原価法は、不動産の再調達に要する原価に着目する原価方式の考え方を中心としており、対象不動産が建物または建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができる場合に有効である。また、対象不動産が土地のみである場合でも、最近において造成された造成地、埋立地等で再調達原価を適切に求めることができる場合は原価法を適用することができる。

再調達原価とは、対象不動産を価格時点において再調達する事を想定した場合において必要とされる適正な原価の総額をいい、新規かつ最有効使用の用途に供されている場合においてのみ実現される対象不動産の上限値といえる。

なお建築資材や工法等の変遷により、再調達原価を求めることが困難な場合は、対象不動産と同等の有用性を持つものに置き換えて求めた原価(置換原価)を再調達原価とみなすものとする。

置換原価は住宅等の一般的な建築物には有効である一方神社、仏閣のような特殊な建築物については工法や資材そのものに価値がある場合があるため安易に置換原価を求めるべきではない。

 

・減価修正と均衡、適合の原則との関連性

原価法は価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格(積算価格)を求める手法である。

減価修正は、減価要因に基づいて発生した原価額を再調達原価から控除して、価格時点における対象不動産の適正な積算価格を求める事を目的として行われる。

減価修正を行うに当たっては、減価の要因に着目し、対象不動産を部分的かつ総合的に分析検討し、減価額を求めなければならない。減価の要因は物理的要因、機能的要因、経済的要因に分けられる。

不動産の収益性又は快適性が最高度に発揮されるには、当該不動産の構成要素の組み合わせが均衡を得ていることが必要である。したがって、不動産の最有効使用を判定するためには当該不動産がこの均衡を得ているかどうかを分析することが必要である。(均衡の原則)

減価修正においては、均衡の原則を活用して敷地内における建物、駐車場、通路、庭等の配置、建物と敷地の規模の対応関係等建物等と敷地との適応の状態を分析し、機能的要因に基づく減価を把握することが必要となる。

不動産の収益性又は快適性が最高度に発揮されるには、当該不動産がその環境に適合していることが必要である。したがって、不動産の最有効使用を判定するためには当該不動産がその環境に適合しているかどうかを分析することが必要である。(適合の原則)

減価修正においては、適合の分析を活用して標準的使用との適合性を分析し、経済的要因に基づく減価を把握することが必要となる。

 

・減価修正の方法

原価法は価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格(積算価格)を求める手法である。

減価修正の目的は、減価の要因に基づき発生した減価額を対象不動産の再調達減価から控除して価格時点における対象不動産の適正な積算価格を求めることである。

減価額を求める方法には次の二つの方法があり、これらを併用するものとする。

①耐用年数に基づく方法

耐用年数に基づく方法は、対象不動産の価格時点における経過年数及び経済的残存耐用年数の和として把握される耐用年数を基礎として減価額を把握する方法である。経済的残存耐用年数とは価格時点において、対象不動産の用途や利用状況に即し、物理的要因及び機能的要因に照らした劣化の程度並びに経済的要因に照らした市場競争力の程度に応じてその効用が十分に持続すると考えられる期間をいう。耐用年数に基づく方法には定額法、定率法等があるが、これらのうちいずれの方法を用いるかは、対象不動産の用途や利用状況に即して決定すべきである。

②観察減価法

観察原価法は対象不動産について、機能性、維持管理の状態、補修の状況等各減価の要因の実態を調査することにより原価額を直接求める方法である。観察原価法の適用においては、対象不動産に係る個別分析の結果を踏まえた代替、競争等の関係にある不動産と比べた優劣及び競争力の程度等を適切に反映すべきである。

耐用年数に基づく方法の短所としては、不動産は毎年規則正しく減価するとは限らず、定額法や定率法で求めた減価額と実際の減価額が一致しない場合がある。一方、観察原価法の短所としては対象不動産の外形の観察が基礎となっているため、外部からの観察だけでは発見しにくい減価要因を見落とす恐れがある。したがって基準ではそれぞれの短所を補完するために二つの方法を併用するよう規定している。

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