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民法

民法 〜担保物権〜

 

 

担保物権

 

・担保物権の性質

 付従性

担保物権の発生には担保目的である債務の発生が必要。担保物権の目的である債権が消滅した場合担保物権も消滅する。

 物上代位性

目的物が売却、賃貸、滅失、損傷などにより、金銭等の別の価値に変わった場合でも、その価値に対して担保物権の効力が及ぶ性質のこと。

 

・留置権

留置権とは、他人の物の占有者がその物に関して生じた債権を有する時に、

その債権の弁済(被担保債権の履行)を受けるまでの間その物を留置する事ができる権利である。

Ex:自動車修理業者は代金支払いがあるまで修理した車を留置する事ができる。

※不法行為によって開始した占有に対して留置権は発生しない。

Ex:盗品の返還と引き換えに金銭を要求する事は出来ない。

留置権の要件:債権と物の牽連性・他人の物の占有者・弁済期の到来・適法行為による占有開始

 

・抵当権

抵当権とは債務者等が占有を移転せずに、債務の担保に供した不動産について他の債務者より優先的に弁済を受ける権利である。

(物そのものではなく「交換価値」を支配する。)

抵当権の成立には「契約」が必要。(約定担保物権)

(対して留置権は要件を満たせば成立する法定担保物権

抵当権を設定する事で一般債権者に優先して弁済を受けられる。(優先弁済的効力)

 

・抵当権の効力の範囲

 付加一体物

抵当権設定後に設置された従物(Ex:畳)も付加一体物に含まれる。

(抵当権は交換価値を支配する権利であるから、不動産の付加一体物にも効力は及ぶ。)

 果実

抵当権は債務不履行があった場合、その不動産の生み出す果実にも効力は及ぶ。

(ローンで購入した賃貸アパート抵当権が設定されている場合、その賃料にも抵当権が及ぶ。)

 分離物

分離物(Ex:山林内の樹木)は目的物の交換価値の一部である為、抵当権の効力は及ぶ。

★分離物が抵当不動産上に存在し、登記による公示の衣に包まれていれば第三者へ分離物の処分を対抗する事ができる。

なぜなら抵当権は登記を対抗要件とする権利だからである。(勝手に伐木して処分するなと第三者に対して返還請求できる。)

※抵当権の侵害に当たるかは「通常の使用収益」の範囲を超えているかで判断する。

 代位物(物上代位)

抵当権はその目的物の売却、賃貸、滅失または損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使する事ができる。ただし、抵当権者はその払渡、引渡前に「差押」しなくてはならない。これは第三債務者(債務者の債務者)の二重弁済の危険を回避する目的がある。

(Ex:第三者の放火により建物が滅失した場合の損害賠償請求権)

※物上代位する場合、一般債権者の差押よりも前に抵当権設定登記している事が必要。

(同じく、第三債務者の二重弁済を回避する目的がある。)

 

・抵当権侵害

1.第三者からの抵当権侵害

Ex:不法占拠者

抵当権は「非占有担保物権」ではあるものの、不法占拠者がいては「目的物の交換価値」の実現が妨げられ、抵当権者の「優先弁済請求権」の行使が困難となる場合は明渡請求が認められている。

★占有権原がある占拠者がいる場合、競売手続の妨害等の目的(主観的要件)と、その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ、優先弁済請求権の行使が困難となる状況(客観的要件)が認められる場合は抵当権侵害の主張が可能となります。

2.抵当権設定者からの抵当権侵害

Ex:抵当権設定者が抵当不動産の取り壊しを始めた場合

正当な使用収益のみを抵当権設定者に対して許すのが抵当権設定の効力なので、取り壊しは正当な使用収益を超える行為であり、当然取り壊しの「差止請求」ができる。また、抵当不動産が取り壊される事で抵当権者は「期限の利益」を失う。

(貸金債権から発生する予定だった利子を取れなくなる。)

その為抵当権者は「貸金債権の請求」が出来るとともに、抵当不動産に対する抵当権実行ができる。

その他、不法行為に基づく損害賠償請求、担保目的物の欠損による「増担保請求」が認められる事例もある。

※物上代位による解決は差押を経て行う必要がある為抵当権者への配慮に欠ける。よって抵当権者が抵当権設定者に対して各種請求が出来ると解するのが妥当であると考える。

 

・抵当権と用益権

 法定地上権

土地建物の所有者が同一であり、抵当権の実行によって土地建物の所有者が異なる状態になった場合は自動的に建物に法定地上権が発生する。(地上権設定契約を省略し、建物所有者は保護されるという事)

 成立要件

1.抵当権設定当時に土地建物の所有者が同一である事

2.抵当権設定当時に建物が存在している事

3.土地、建物の一方あるいは双方に抵当権が設定された事

4.抵当権実行後土地建物の所有者が別々になった事

※判例は成立要件を前提とするものの、ステークホルダーの公平性を鑑みた結果となっている場合が多い事に注意。

 

・譲渡担保物権

≒抵当権

抵当権と違い所有権の移転を伴う担保物権(所有権的構成)という考え方と、単なる交換価値の支配(担保権的構成)という考え方がある。

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