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民法

民法総則 〜代理〜

 

 

代理

 

 

代理とは代理人が本人のために意思表示する事でその効果を直接本人に帰属させる事である。

この時、本人と相手方に契約効果が帰属し、代理人と相手方に代理行為の効果が帰属する。

(相手方は代理人にも債務履行請求できると言う事。)

顕名:代理権を代理人に付与したという意思表示を知らしめる。

(代理人が代理権を与えられていないにも関わらず「自分は代理人である」と名乗った場合も顕名にあたる。この場合、顕名を欠いてはいないが詐欺等別の話になってくるという事。)

 

・代理権の消滅

本人の死亡、代理人の死亡又は代理人の破産、後見開始の審判を受けた事。

★消滅要件を代理人の死亡・破産・後見開始を語呂合わせで「ダシは後」なんて言ったりします。(懐かしい)

 

・自己契約(代理人が相手方となる契約)双方代理(本人と相手方の代理人が同一人)の取り扱い

 108条1項

原則:無権代理とみなされ、代理権を有しない者がした行為とみなす。

例外:本人があらかじめ許諾していれば無権代理とはならない。

 108条2項

前項に規定するもの(自己契約・双方代理)の他、代理人と本人の利益が相反する行為は無権代理とみなされる。

が、やはり本人があらかじめ許諾していれば無権代理とはならない。

 

・代理行為の瑕疵

 101条1項

代理人が相手方に対してした意思表示の効力について何らかの影響を受ける場合は代理人に基づいて決する。

(代理人の善意・悪意や詐欺・強迫等の事情、つまり代理行為の瑕疵代理人目線で考慮するという事。本人ではない。)

 101条3項

代理人の行為に対して本人が自ら知っていた事情について代理人が知らなかった事を主張することができない。

(自分が知っていたなら行為前に代理人を止めろよ、という話。)

代理行為の瑕疵によって発生した取消権「本人」が取得することに注意。

代理人が相手方を騙した(詐欺)場合、相手方は本人に対して取消請求できる。

(代理とは代理人が本人のために意思表示する事でその効果を直接本人に帰属させる事であるので、利益もリスクも本人に帰属させるべきだという事。)

代理人が本人を欺く目的で相手方との間で虚偽表示を行った場合、

相手方は心裡留保と類似の関係にあたり、93条1項の類推適用ができる。(無効となる。)

Ex:7相手方は700万円で購入する意思があるものの、本人には500万円で購入すると伝え、差益の200万円を代理人と相手方で山分けする。

相手方の代理人に対する内心的効果意思と本人に対する表示行為が異なるという事は意思表示が異なることになる為、心裡留保と類似の関係となる。

 

・代理権の濫用

本人ではなく、代理人自身や第三者の利益のためにする行為。

Ex:不動産売買代金を代理人が着服した

代理人が代理権の濫用をした場合に、相手方が悪意・有過失の場合は代理権を有しない者がした行為とみなす。(無権代理)

本人に効果が帰属しないという事。

 

・無権代理

代理人として代理行為をした者が当該行為について代理権を有しない場合。

本人に効果は帰属しない。(効果不帰属)→無効でも有効でもない状態。

 113条

本人が「追認」すれば有効となり、「追認拒絶」すれば無効となる。

追認は遡って有効となる(遡及効)が、第三者の利益を害する事は出来ない。(116条)

 114条

前条の場合、相手方は追認するのか否かを本人に催告する事ができ、期間内に確答をしなかった場合は追認拒絶をしたものとみなす。

 115条

無権代理行為は本人が追認する前までは相手方から取り消す事ができる。

ただし、相手方が無権代理について悪意であった場合は取り消し出来ない。

(追認した後無権代理でなくなるので、取消権が無くなるという事)

無権代理人は代理権の証明、本人の追認を得ない限り、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。(117条)

ただし、相手方が無権代理について悪意・有過失であった場合は履行又は損害賠償の請求が出来ない。

 

・無権代理と相続

本人が死亡して無権代理人が相続 Ex:本人の土地を無権代理人が売った

→本人の所有権や追認権が相続によって無権代理人に移転している為、無権代理人に本人の地位と無権代理人の地位が併存すると解する。(地位併存説)

相続によって無権代理行為が当然に有効となってしまうと取消権や損害賠償請求権を一方的に奪う事になってしまい、妥当でない。

 

・表見代理

無権代理の一種であり、無権代理の場合でも代理権の存在を推測させるような客観的事情があり、相手方がこれを信頼して取引関係に入った場合は、その無権代理行為の効果を有権代理の場合と同様に本人に帰属させる制度。(客観的事情を作り出した事に本人にも過失があると解する)

 109条

代理権授権表示による表見代理

→委任状を本人が誤って交付する等、本人に帰責性のある表見代理。(代理権の範囲内)

効果:表示された代理権の範囲で代理行為の効果は本人に帰属する。

 110条

権限外の行為の表見代理

→権限外の代理行為についても第三者が代理権があると信ずべき正当な理由がある時(善意無過失)は109条の効果を準用する。(類推適用)(代理権の範囲外)

Ex:日常家事債務(夫の土地を妻が困窮し、無権代理で売却した等)

→無権代理行為であるものの、761条「日常の家事に関する債務の連帯責任」に該当するのであれば、夫は連帯してその責任を負う。(日常の家事とは、当該夫婦にとって共同生活を維持する上で通常必要な一切の事務をいうと解する。)

したがって110条の趣旨を類推適用し、(夫婦なんだから代理権は当然持っているだろうという第三者にとって信ずべき正当な理由がある)契約の効果は本人に帰属すると解する。

 112条

代理権消滅後の表見代理

→代理権が消滅した事について第三者が善意無過失であれば(本人に帰責性がある)本人は第三者に対してその責任を負う。

 

・表見代理の重畳適用

I:109条1項と110条の重畳適用

Ex:委任状を交付したが、代理行為が委任状の権限内容を超えていた。

I I:110条と112条の重畳適用

Ex:代理権を付与してすぐ取り消したものの、未回収の委任状を使用し、且つ代理行為が委任状の権限内容を超えていた。

 

◆論点◆

 

1.売買契約(特定の法律行為)上の代理人への詐欺について悪意の本人は取消できるか

 

本人は当該売買契約を取り消せるか。代理人は売主から欺罔されて購入してしまったが、本人は欺罔の事実に気づいている。

本件の場合、代理人を基準とすれば詐欺(96条1項)にあたるが、本人を基準とすると詐欺にはあたらず、取消権も発生しないことになる。

そこで、代理行為の瑕疵を代理人と本人のいずれを基準として判断すべきかが問題となる。

この点、代理行為において意思表示をするのは代理人であること及び101条1項に照らし、原則として代理人を基準とすべきと解する。

よって、代理人が相手方の欺罔によって意思表示をした場合、本人は取消権を主張できるのが原則である。

もっとも本人が代理人に対して特定の法律行為をすることを委託した場合は、本人は代理人の不知を主張できず、本人を基準とすべきである。(101条3項)よって本人は当該売買契約を取り消せない。

 

2.売買契約上の代理人の詐欺について善意無過失な本人に対し、買主は詐欺を理由に取消できるか

 

代理人が売買契約をする際に買主を騙した場合、買主は96条1項によって取消権を取得するが、代理人が96条2項の「第三者」に当たり、買主は本人が善意無過失である限り取消を主張できないのではないかが問題となる。

この点、代理人は96条2項の「第三者」には当たらず、相手方は無条件に法律行為を取り消す事ができると解する。

なぜなら、代理における本人は、代理人の事務処理によって利益を受ける立場にあり、代理人が行った行為によって生じるリスクも負うべきだからである。

よって、本件の場合、買主は売買契約を取り消す事ができる。

 

3.代理人が本人を騙し、相手方と通謀して売買代金を着服(架空の消費貸借契約)した場合、貸金の返還請求はできるか

 

本人としては代理人と第三者間での法律行為の有効性を主張したいと考える。しかし、代理人と相手方との間で通謀虚偽ひ表示(94条1項)がされた場合、代理人を基準として判断すると、当該代理行為は向こうであり、その無効という効果が本人に帰属するのが原則である。そこで、代理人が本人を欺く目的で相手型との間で虚偽表示を行った場合も同様に解すべきかが問題となる。

この点、相手方は代理人と通謀することを秘匿して本人と取引をしたのであるから、心理留保類似の関係にあるとして、92条1項の類推適用により有効となると解する。

なぜなら、代理人は相手方と通謀して本人を騙す権限はないので、代理人は単に相手方の意思を伝達する機関(使者)に過ぎないからである。

本件では本人が相手方の真意を知り、または知る事ができた場合でない限り、相手方の意思表示(消費貸借契約の締結)は有効である。

よって、本人は消費貸借契約の有効性を主張して相手方に対し貸金の返還を求める事ができる。

 

4.代理人が売買代金を着服する意図について悪意である相手方は目的物の引渡を本人に請求できるか

 

代理人には代金を着服する意図があった為、本件では代理人が代理行為を行うにあたり権限を濫用した場合、相手方は本人への効果帰属を主張して、本人に対し目的物の引き渡しを請求できるかが問題となる。

この点、代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知る事ができたときは、その行為は代理権を有しない者がした行為、無権代理行為とみなされる。

本件の場合、相手方は代理人が代金を着服する目的で代理行為を行なっている事を知っている。

よって、代理人の行為は無権代理行為とみなされるので、その効果は本人に帰属せず、相手方は本人に対し目的物の引き渡しを請求できない。

 

5.代理人が直接本人の名義で代理行為をした場合、その効果は本人に帰属するか

 

代理人は自分の名前を示さず直接本人の名を示した場合、顕名をして意思表示をしたこととなるのかが問題となる。

この点、原則として顕名があるといえると解する。

なぜなら、顕名は相手方に契約の当事者が誰であるかを知らしめるためのものであり、本人の名を示すことにより、契約の相手方は本人が誰か分かるからである。

したがって、代理人が本人の氏名だけを示した場合には、原則として顕名があるといえるので、代理人と相手方の行為の効果は本人に帰属する。

 

6.無権代理人が単独で本人を相続した場合

 

無権代理行為は原則として本人に効果が帰属しない。では無権代理人が単独で本人を相続した場合の無権代理行為の効力はどうなるのか、当然に有効になるのかが問題となる。

この点、相続によって無権代理行為が当然に有効になる事は無く、無権代理人に本人の地位と無権代理人の地位が併存すると解する。

なぜなら、相続によって当然に無権代理行為が有効になってしまう場合、相手方の無権代理行為に対する取消権を一方的に奪ってしまい、妥当ではないからである。

もっとも、無権代理行為を行った無権代理人が相続した本人の立場で追認拒絶権を行使する事は、信義則に反し、許されない。よって、相手方が履行を求めた場合には、無権代理行為は有効になると解する。

したがって、相手方が履行を求めた場合は無権代理人は追認拒絶権を行使できず、無権代理行為は有効となる。

 

7.無権代理人が追認拒絶後に死亡した本人を相続した場合

 

本人が死亡する前に追認拒絶を行っていた場合、本人を単独相続した無権代理人は本人の追認拒絶を理由に相手方の請求を拒む事ができるのかが問題となる。

この点、無権代理人は相手方の請求を拒む事ができると解する。

なぜなら、本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の無効が確定しており、この後に無権代理人が本人を相続したとしても、追認拒絶の効果に何ら影響を及ぼすものではないからである。

したがって、無権代理人は本人の追認拒絶を理由に相手方の請求を拒む事ができる。

 

8.無権代理人が本人を共同相続した場合

 

無権代理人の効力はどうなるか、すなわち相続によって無権代理人が取得する持分の限度で無権代理行為は有効となるのかが問題となる。

この点、無権代理人を除く共同相続人全員の追認があれば、無権代理行為は有効となるが、追認がない場合は無権代理人が取得する持分の限度であっても、無権代理行為は有効とはならないと解する。

なぜなら、無権代理行為を追認する権利はその性質上、共同相続人に不可分に帰属するからである。

ただし、他の相続人全員が追認している場合に、無権代理人が追認を拒絶する事は信義則上(1条2項)許されない。

したがって、共同相続人全員が追認すれば無権代理行為は有効となるが、追認を拒絶された場合、無権代理行為は有効とならず、相手方は無権代理人に対して、損害賠償請求しかできないことになる。

 

9.本人が無権代理人を相続した場合

 

無権代理行為は原則として本人に効果が帰属しない。それでは、無権代理人が死亡し、本人で単独で相続した場合、無権代理行為は当然に有効になるのかが問題となる。

この点、無権代理行為が当然に有効になる事はなく、本人に本人の地位と無権代理人の地位が併存されると解する。

なぜなら、もし相続により無権代理行為が当然に有効になるとすれば、相手方の取消権や損害賠償請求権が一方的に奪われてしまい、妥当でないからである。そして、無権代理人を単独相続した本人は被害者的立場にあるため本人の立場で追認拒絶権を行使しても何ら信義則に反しないと解する。

したがって、無権代理行為は当然に有効とはならない。

もっとも、無権代理人の地位も併存しているため無権代理人の責任は免れない。そこでこの場合の相手方は履行を求める事ができるかが問題となる。

この点、履行の内容が特定物の引渡しの場合はこれを否定すべきと解する。

なぜなら、このような場合に無権代理人の責任に基づく履行責任を負うとしたのでは本人に追認拒絶権の行使を認めた意味がないからである。

したがって、本人は相手方からの引渡し請求を拒否できる。

 

10.共同相続人が無権代理人と本人を相続した場合

 

共同相続人が無権代理人を相続した後本人も相続した場合、相手方はいかなる請求をなし得るかが問題となる。

この点、無権代理行為が当然に有効になる事はなく、相続人に本人の地位と無権代理人の地位が併存されると解する。

なぜなら、もし相続により無権代理行為が当然に有効になるとすれば、相手方の取消権や損害賠償請求権が一方的に奪われてしまい、妥当でないからである。そして、相続人は本人の立場で追認を拒絶することも可能であると解する。

なぜなら、相続人は何ら無権代理行為に関与しておらず、本人の立場で追認拒絶権を行使しても何ら信義則に反する事はないからである。

なお、相続人は無権代理人としての地位も相続するので無権代理人の責任を免れないが、履行責任までは負わず、損害賠償責任負うにすぎないと解する。

なぜなら、相続人に履行責任まで負わせると、相続人に追認拒絶権を認めた意味が失われるからである。

したがって相続人は追認の拒絶が可能であり、相手方は損害賠償請求をなしうるのみ、となる。

 

11.所有者が他人物売主を相続した場合

 

他人物売主が死亡し、所有者が単独で相続した場合、売買契約が当然に追完されるのかが問題となる。

この点、当然に追加される事はなく、所有者には権利者の地位と他人物売主の地位が併存する考え、その上で信義則に沿って妥当な解決を図るべきであると解する。

なぜなら、もし当然に追完されるとすれば、相手方の解除権や損害賠償請求権が一方的に奪われてしまうからである。そして、所有者は被害者的立場にあるのだから、相続によって売主の地位を承継しても、信義則に反すると認められるような特別の事情がない限り、売主としての履行義務を拒否する事ができると解する。

したがって、所有者は信義則に反すると認められるような特別の事情がない限り、相手方に対して所有権移転義務を負わない。

 

12.事実行為(ex:勧誘行為)の授権を得た代理人が本人の名義で勧誘の相手方と法律行為(ex:保証契約)をした場合

 

本件の代理人は保証契約を締結する代理権を与えられておらず、保証契約の効力は本人に及ばないのが原則である。

それでは、表見代理(110条)は成立しないか。本件では代理人は勧誘行為の代行権限が与えられているが、このような事実行為の授権も表見代理の成立に必要な基本代理権の授権となるかが問題となる。

この点、事実行為の授権は基本代理権に含まれないと解する。

なぜなら、表見代理精度は取引の安全を図る制度である以上、基本代理権も法律行為に関する代理権でなければならないからである。

したがって、当該契約の効果は本人に帰属しない。

 

13.公法上の行為(ex:所有権移転登記)の授権を得た代理人が本人の名義で勧誘の相手方と法律行為(ex:保証契約)をした場合

 

本件の代理人は保証契約を締結する代理権を与えられておらず、保証契約の効力は本人に及ばないのが原則である。

それでは、表見代理(110条)は成立しないか。本件では代理人は所有権移転登記申請の代理権が与えられており、このような公法上の行為の授権も表見代理の成立に必要な基本代理権の授権となるかが問題となる。

この点、110条の基本代理権には私法取引と密接な関連を持つ公法上の行為をなす権限も含まれると解する。

なぜなら、公法上の行為とはいっても、私法取引と密接な関連を持つものもあり、これについては私法取引同様、取引の安全を図る必要性が高いからである。本件の場合、登記申請行為も私法上の契約の義務の履行として行われる場合は私法取引と密接な関連性を有しているといえるので、表見代理は成立する。

したがって、相手方が善意無過失であれば本件保証契約の効力は本人に及ぶ。

 

14.代理権授与表示がされた権限の範囲を超えた代理行為に表見代理は成立するか(ex:土地の売買)

 

相手方は本人に対して引渡しを請求できるか。本件の場合代理人の行為は無権代理行為であり、本人に効果が帰属しないのが原則である。

それでは、109条2項の表見代理は成立しないか。

この点、109条2項の表見代理が成立するためには、代理権授与表示があった事、授与表示の範囲を超えて代理行為が行われた事、相手方が代理権ありと信じた事に正当な事由がある事(善意無過失)が必要である。

したがって、本件無権代理行為に関して代理権あり、と信じたことに正当な事由が相手方にある場合は(善意無過失)109条2項の表見代理が成立し、本人に対して土地の引渡しを請求できる。

 

15.代理権消滅後にされた、権限の範囲を越えた代理行為(ex:土地の賃貸→代理権消滅→委任状を使っての土地の売買)

 

相手方は本人に対して引渡しを請求できるか。本件の場合代理人の行為は無権代理行為であり、本人に効果が帰属しないのが原則である。

では、112条2項の表見代理は成立しないか。

この点、112条2項の表見代理が成立するためには、代理権消滅後に代理行為が行われた事、その代理権の範囲を越えて代理行為が行われた事、相手方が代理権ありと信じたことに正当な理由がある事(善意無過失)が必要である。

したがって、本件無権代理行為に関して代理権あり、と信じたことに正当な事由が相手方にある場合は(善意無過失)112条2項の表見代理が成立し、本人に対して土地の引渡しを請求できる。

 

16.表見代理が成立し、相手方が保護される場合の無権代理人に対する責任追及の可否について

 

相手方は表見代理により保護されるが、このような場合に無権代理人に対する責任追及を認める必要があるのかが問題となる。

この点、表見代理が成立する場合であっても、相手方は無権代理人の責任を選択的に追及できると解する。

なぜなら、無権代理の責任と表見代理は別個独立の制度であり、選択的に主張できるとした方が相手方の保護に資するからである。

また、無権代理人が表見代理の成立を理由に自己の責任を免れることを許すのは妥当でないからである、

したがって、相手方は無権代理人の責任を追及できる。

 

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