不動産証券化は読んで字の如く、不動産業界と金融業界のミキシングです。
本記事では「不動産業界」の主要素について解説いたします。
・宅地
宅地の定義とは建物に供される土地または「用途地域」「内」の
道路、公園、河川等の公共施設に供されている土地以外のものを指します。
・民法の基礎
不動産の売買や賃貸の契約において、人(個人、法人)は権利義務の主体となる事ができます。
ただし、特に個人において泥酔状態(意思能力が欠如している状態)の契約は無効となり、
制限行為能力者(お年寄りや未成年など)の契約は取消が可能です。
(無効は初めから契約は無かったモノと取り扱うのに対して、取消は取り消すまでの間、契約は有効なモノであったとして取り扱います。)
また、不動産の売買契約において、所有権は「売買契約時」に移転するものであり、
登記の移転手続きはあくまで第三者対抗要件として存在します。
登記簿は表題部(登記原因、日付、土地建物の所在地など)と権利部甲区(所有権)と乙区(所有権以外の権利)に分かれています。
★売買契約は「諾成契約」(お互いの意思の合致により成立する契約)かつ「不要式契約」(口頭でOK)です。
・契約不適合責任
※民法改正により瑕疵担保責任から契約不適合責任に変わりました。
契約不適合があった場合、以下の対応が考えられます。
①代金減額請求権 ②契約の解除(売主に帰責事由不要)
③損害賠償請求権(売主に帰責事由がある場合)
知ってから1 年以内に通知(通知のみでよく、訴訟を起こす必要はない)
プロパティマネージャー(PM)
プロパティのマネジメントですので、証券化をする不動産のテナント(入居者)の募集、
入居後のクレーム対応、賃料の集金など物件の運用に欠かせない存在です。
大家さんが自主管理をしているアパートもまだまだありますが、
このPMに管理業務全般を委託するのが資産家、個人投資家、後述するAMにとって主流となっております。
資産価値の最大化が主なミッションとなっています。
★プロパティマネージャーの役割についての詳細はこちらの記事をご参照ください。
ビルメンテナンス(BM))
プロパティマネージャーとの違いはテナント(1部屋ずつ)の管理ではなく、
建物全体(階段、エレベーター、消防設備、給水設備など・・)のメンテナンス業務を担当します。
エレベーターや消防設備は命に関わる設備ですので、クルマと同じく法定点検は欠かせません。
これらの点検、届出を代行したり、近年重要視されている「インスペクション」の実施も兼任するケースが多くあります。
PMと同じく、物件の運用に欠かせない存在です。
アセットマネージャー(AM)
前述したPM,BMの指示を始め、デットファイナンス(金融機関からの資金調達)やアクイジション(投資対象物件の調達)
ファンド(SPV)への収支報告書(毎月投資対象不動産がいくら、賃料収入等で儲けたのか)作成など、
オーナーサイドとベンダーを繋ぐ大事なポジションです。
ディスポジション(投資対象物件の売却)もAMの仕事ですのでAMの良し悪しでSPVに参画する投資家の利益が増減します。
投資家利益の最大化が主なミッションとなっています。
★アセットマネージャーの役割についての詳細はこちらの記事をご参照ください。
士職
登記(所有権をはじめとする不動産の権利にまつわる情報が記載されたもの)の手続きを行う司法書士、
不動産鑑定評価を行う不動産鑑定士、
権利関係の調整を行う弁護士、税金の試算から始まりSPVの解散時までの手続きに欠かせない税理士と、
様々な士職が頻繁に登場するのも不動産証券化ならではです。
投資対象不動産に関する調査に際して前述したプロの動きが欠かせません。
調査内容は多岐に渡りますので本記事では割愛いたしますが、
そもそも土地、建物は本当にオリジネーター(証券化不動産の持ち主)のモノなのか?この真偽一つですら調査対象です。
(登記には公信力がない為、オリジネーターのIDチェック等も怠ってはなりません。)
大概は個人投資家がデッドファイナンスのみでは購入できない大規模な物件ばかりですので慎重に調査をする必要があります。
1995年4月に施行された法律であり、不動産特定共同事業を営む者について許可制とし、
事業参加者の利益保護を目的とする法律です。
さらに2013年6月の法改正により特例事業(届出制)が導入され、
特に、特例事業を営むSPCは不特法における不動産取引業務を3号事業を行う不特法業者に、
契約締結の勧誘を4号事業を行う不特法業者に委託しなくてはならなくなりました。
一般不動産投資顧問業:個人可。宅建免許不要。
総合不動産投資顧問業:資本金5000万円以上の宅建業免許をもつ株式会社。
大規模不動産の投資経験等をもつ業務統括者の設置、自己勘定と一任業務の分別管理体制等の要件を満たす必要あり。
※不動産投資顧問業自体は任意登録制です。