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不動産まめ知識

ビル経営管理

ビル経営管理「企画・立案」

 

オフィスを考える視点とキーワード

 

テナントリテンション:契約の継続

テナントミックス:業種のシナジーを誘発し、カニバリゼーションを防ぐ

オフィスワーカー:稼働率(早朝深夜の入退館)、空調(セントラル→個別)、化粧室

★現代のオフィス空間は、価値を創造する知的生産の場として存在することが求められている。

 

・着眼点

テナント企業:耐震性、アスベスト、BCP(事業継続計画)、移転費用

デベロッパー:複合ビル、投資採算性、まちづくり

投資家:収益性、情報の透明性(ディスクロージャー)、不動産と金融のミックス

 

ビル事業とリスク管理

 

・BCP

従来の防災計画との違いは、従来の防災計画が人命安全や建物等の資産保全に主眼を置いているのに対し、BCPは企業の業務継続に重点を置いている点である。

 

・リスクアプローチ(例

予防:建物を耐震構造にすること、非常用発電機を設置すること。

結合:同一の地震や火災にさらされない場所に、賃貸ビルを買い増しすること。

低減:消火設備の設置、避難階段の設置、防火戸の設置、防災訓練の実施。

 

PFI:プライベートファイナンスイニシアティブ

 

民間資金や経営能力を活用して公的施設の建設、維持管理、運営を行う手法

◎対象施設

道路、鉄道、港湾、空港、河川、公園、上下水道、官舎、学校、賃貸住宅、

社会福祉施設、研究施設、「船舶・航空機」←NEW

◎事業形態

・料金徴収型(独立採算型)

民間事業者が整備運営し、消費者から徴収する料金で回収する形態。

・一体整備型(ジョイントベンチャー型)

公共施設と民間施設を一体的に整備運営し、消費者から徴収する料金で回収する形態

・公共サービス購入型

公共民間事業者からのサービスを購入する形態。

 

◎事業調達方式

・総合評価方式:価格・サービス等総合的に勘案し落札者を決定

・公募型プロポーザル方式:あらかじめ定めた評価基準に従って落札者を決定

・コンセッション方式←NEW:施設所有権を公共のまま、民間の事業実施権利獲得を認める方式

 

CRE戦略:コーポレートリアルエステート

 

企業用不動産の有効活用によって企業価値を高める。(不動産業でない企業も経営的観点から不動産戦略を構築する)

→企業が事業を継続するために使う不動産を重要な経営資源に位置付け、その活用、管理、取引に際し、企業の社会的責任(CSR)を踏まえた上で、企業価値最大化の視点から最適な選択を行う経営戦略。

★バブル崩壊、土地神話の崩壊によって不動産の価格下落リスクを考え、経営資源の一つとして意識するようになった。

シェアードサービス型戦略:不動産を経営資源と意識した上で、外部の不動産を取り巻くベンダーと従業員(社内顧客)のインターフェースを担う考え方の経営戦略

→従業員満足やCSRの観点からCRE戦略を実行する

大企業:社内にCRE専門部署を設置

中小企業:専門部署に代わってメインバンク等にCRE戦略を実行させる

クリエイティブオフィス:バリューチェーンの各段階において創意工夫を誘発するような仕掛け→HRMにプラスの作用をもたらす。

→オフィスを単なる「作業スペース」ではなく「コミュニケーションツール」「エコシステム」として捉える。

HRM:(ヒューマンリソースマネジメント)人的資源活用

CSR:(コーポレートソーシャルレスポンシビリティ)企業の社会的責任。企業と社会全体の永続的な成長を目指す取り組み。

 

ビル事業のパラダイムシフト

 

従来:銀行借入→建築→募集・賃貸・維持管理(所有者が直接実施)

現在:銀行借入+直接金融→建築(厳格化)→募集・賃貸(仲介業者への委託)→維持管理(テナントの要求品質UP、PM会社への委託

不動産×金融=証券化→所有者が不特定多数→投資商品としての側面が強まる→AM会社への委託「ビル事業のアンハンドリング化」、「所有と経営の分離」

AM:対投資家の管理 PM:対テナントの管理 LM:テナント募集管理 CM:工事管理/監理 FM:経営資源の観点から見た管理 BM:ビルマネジメント

デューデリジェンス:法的調査、経済的調査、物理的調査

エンジニアリングレポート:デューデリジェンス報告書

 

ビル設計フロー

 

基本設計→実施設計

→基準階平面計画(空調、照明、OA、トイレ・・・)

→建物共用部計画(駐車場、EV、エントランス・・・)

工事管理:施工品質  

工事監理納期・契約・支払

・工事請負業者選定

一括発注方式、分離発注方式、コストオン方式(一括発注先に指示の上分離発注し、CMFeeを工事費に加えて支払う)

CM(コンストラクションマネジメント)工事進捗管理等、工事請負業者で賄いきれない業務を遂行し、責任を負う。

・コア計画

出典:megasoft.co.jp/3dod/glossary/core_placement.php

中央コア:構造コアとして最も好ましく、高層・超高層での採用が多い。

外コア(オープンコア) :コアの接続部での変形が過大とならない計画を要し、耐震構造上不利である。

両端コア(ダブルコア):コアの間隔が大きい場合には、中央部の耐震性を検討する必要がある。

片寄コア:重心と剛心を一致させ、偏心を防ぐ必要がある。構造上、高層には好ましくない。

・PML値

耐震性能の判断材料となる、建物の使用期間中で予想される最大規模の地震(再現期間475年相当=50年間で10%を超える確率)

に対して予想される最大の物的損失額(90%非超過確率という)

についての再調達費に対する割合を示す値という。

 

地球環境とビル経営

 

IPCC:気候変動に関する政府間パネル

COP:気候変動枠組条約締結国会議 Ex:COP21「パリ協定」全ての国に対して、温暖化ガス削減目標を5年ごとに見直すよう義務付けている。

CASBEE建築環境総合性能評価システム 平成14(2002)年に開発。米国のLEED、英国のBREEAMに相当する。

BELS:建築物省エネルギー性能表示制度

LEED:建築物環境性能認証システム

WELL認証:居住者の健康・快適性に焦点を当てた認証システム

GRESB:グレスビー、不動産会社や運用機関を対象としたラベリング制度

TCFD:機構関連財務情報開示タスクフォース

ESG投資:従来の財務情報だけでなく環境、社会、ガバナンスを考慮した投資

SDGs:国際社会が2030年までに解決すべき課題に向けて、17の目標が掲げられている

グリーンリース:ビルオーナーが省エネ改修を実施したメリットをテナントが享受する場合、そのメリットをテナントがビルオーナーに還元する仕組み

建築物省エネ法:建築物におけるエネルギー消費量が増加していることを踏まえ、住宅以外の一定規模以上の建築物にエネルギー消費性能基準への適合を義務づけている

環境アセスメント:13事業を対象とし、手順は、対象事業の実施計画案 →予測評価項目の選定→現況調査→予測→ 評価となる。

 

行政法規

 

・都市再生特別地区

地域地区の一つで、都市再生緊急整備地域内において指定することができ、国際競争力や都市の魅力を向上させる優良なプロジェクトを誘導するため、

あらかじめ一律的な基準を設けず民間からの都市計画提案を受け、個別に審査して対応する制度。

 

・総合設計制度

建築基準法に規定された制度で、一定規模以上の敷地面積を対象に、敷地内に一定割合以上の空地を有する建築計画について、

容積率や高さに関する制限を緩和することで、市街地環境の整備改善を資する建築物を誘導する手法である。

 

・連担建築物設計制度

複数の敷地により構成された一団の土地の区域において、協調的な建築計画が策定された場合、

既存建築物を含む複数の建築物を同一の敷地内にあるものとみなし、建築基準を適用する制度である。

 

・優良建築物等整備事業制度

国の予算措置に基づく助成制度で、同様の住宅市街地総合整備事業制度との違いは道路、公園等の基盤整備を事業内容に含むか否かである。

 

・高さ制限

絶対高さ制限:低層住居専用地域、田園住居地域のみが対象10or12mを超えてはならない

隣地斜線制限:絶対高さ制限以外の住居系地域の高さ制限

道路斜線制限:全用途地域の前面道路の反対側からの境界線からの水平距離が一定の勾配の斜線によって制限される

北側斜線制限:住居専用地域、田園住居地域の高さ制限

 

・天空率

天空率とは、建築物の全天に対する空の面積の割合で、天空率制限は、天空の開放状況をみるために球面状の天空図を用い、そこに投影される面積を比較する方法である。

また、天空率制限は総合設計における高さコントロールの考え方を取り入れ、これに準じて規制する方式である。

平成14年の建築基準法改正により性能規定が導入され、計画される建築物が斜線制限と同程度の採光と通風等が確保できる場合は、斜線制限が適用されないことになった。

 

・日影規制

商業・工業・工業専用以外の地域が対象。

・高度地区

最低限度規制、最高限度規制

・特定街区

都市計画法による地域地区の一つで、既定の容積率や建築基準法の高さ制限を適用せず、別に都市計画で容積率・高さなどを定める制度である。

・再開発等促進区

地区計画において一体的かつ総合的な市街地の再開発または開発整備を実施すべき区域を定め、公共施設の整備と併せて、建築物の用途容積率等の制限を緩和することにより、良好なプロジェクトを誘導する制度である。

・街並み誘導型地区計画

壁面の位置の制限及び高さの最高限度等を定めることにより、地区特性に応じた高さ、配列及び形態を備えた建築物を整備誘導し、街並みの整った市街地の形成を図ることを目的としている。

・駐車場整備地区

商業地域や住居地域(住居専用地域を除く)等で定められる場合がある。

・新都市基盤整備法

人口過密への方策として、新市街地の開発に際して、基盤となる道路などの基幹施設や開発の核となる開発誘導区の整備を都市計画事業として行う。

・構造制限

防火地域
階数が3以上のもの、または階数にかかわらず延べ面積が100平方メートルを超えるもの 木造建築物は原則禁止

準防火地域
階数が4以上のもの(地階を除く)、または階数にかかわらず延べ面積が1,500平方メートルを超えるもの

・都市再生プロジェクト

21世紀の新しい都市創造、20世紀の負の遺産の解消がテーマ。

 

 

ファイナンス

 

・減価償却

税法上、届出をしていない時、法人の場合は、他の方法が強制される場合を除き、定率法によって計算する。

ただし、1998年4月1日以降に新規に取得した建物(建物付属設備を除く)の償却は、税務上、定額法によって計算することとされている。

 

・減損会計

減損会計基準の適用指針では、少なくとも市場価格が帳簿価格から50%程度以上下落した場合は、「市場価格の著しい下落」に該当するとされている。

減損損失の測定において、帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として当期の損失とするが、

当期回収可能額は、売却による回収額である正味売却価額か、使用による回収額である使用価値のいずれか大きい方の金額である。

 

・資産除去債務

従来は、資産の除去費用は、発生時の費用とされてきたが、企業会計基準第18号「資産除去債務に関する会計基準」等によれば、

資産除去債務を負債として計上するとともに、これに対応する除去費用有形固定資産に計上することになった。なお、除去費用は、減価償却を通じて残存耐用年数にわたり、各期に費用配分する。

 

・有形固定資産の取り扱い

 法人税法上、資産の評価減は原則的に損金不算入の扱いであり、除却あるいは売却しない限り、その評価損は損金算入できない。

その結果、会計上は減損処理後の減価償却は減損後の帳簿価格を基準として毎期実施するが、税務上は減損処理前の税務上の簿価が基準となるため、会計上の減価償却費が償却終了まで税務上の減価償却費を下回る。

資本的支出の中には、少額の場合や使用の周期が短期である場合については、一定の基準に基づき、収益的支出として処理することが認められている。

2007年の税制改正により、2007年4月1日以降に取得する有形固定資産については、償却可能限度額及び残存価額が廃止され、法定耐用年数期間で残存簿価1円までの償却が可能となった。

減価償却は、資産を取得した時点ではなく、資産を事業の用に供した時点から行う。

(不動産の場合、賃貸の募集を開始していない状態や、賃貸借が開始せず内装工事を行っている途中は事業の用に供したとは言えない。)

 

・不動産取得税/登録免許税

不動産取得税及び登録免許税は、会計上、取得価額に算入することが原則であるが、期間費用とすることも認められている。

 

・企業会計基準

2008年11月に企業会計基準が公表され、2010年3月31日以後終了する事業年度の年度末に係る財務諸表から、賃貸等不動産の時価が注記の形で開示されることになった。

ここでいう、賃貸等不動産には、物品の製造や販売、サービスの提供、経営管理に使用されている場合の不動産も含む。

 

・NPV法

投資期間のNCFを予測した上で、各年度のNCFを割引率を用いて現在価値になおし、現在価値を合計したものから初期投資額を引いた数字(正味現在価値)が正の値ならば、投資価値アリと判断する手法。

 

・CVP分析

費用(Cost)、活動量(Volume)、利益(Profit)の関係の分析であり、費用と利益の関係性を分析して、企業の活動量を増加・減少させた場合に、費用・利益がどのように変動するかを捉えていく手法。

 

・EVA

税引後事業利益から資本コストを差し引いたものであり、企業価値の分析に有用な手法。

・LTV

一般的な融資判断の指標となる格付けにおいては、LTV30%台のトリプルAからLTV50%台のシングルA、LTV60%台のトリプルBクラスまでが融資適格となり、

この範囲で次第に貸付金利を上げ融資を行っている。LTV70%を超える範囲になると、融資不適格となるケースもあり、融資実行の判断そのものが難しくなることがある。

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