円滑化法とは「分譲マンションの建替え」に関する法律です。
流れ:建替え決議→事業計画の認可→権利変換計画→権利変換→施行再建マンションの建築
※円滑化法は「個人施行」「組合施行」のみで「公的施行」はありません。
・組合施行
組合は「5人以上」の「建替え合意者」と参加組合員によって設立されます。「定款」「事業計画」を作成し、
「建替え合意者4分の3以上の同意」を持って市町村長を経由して知事等へ認可申請します。
※区分所有者全体ではなく、建替え合意者4分の3以上の同意です。
認可後は建替え合意者「全員」が組合員になります。
★「事業計画」の公衆の縦覧、意見書の取り扱い等は他2つの手続法と同様です。
・審査委員
権利変換計画等が構成妥当であるものかを審査する「3人以上」の委員。「総会」で選任する。
※「審査委員の過半数の同意」が必要。
(土地区画整理法、都市再開発法と同意数の比率が異なる点がキーです。)
★賦課金・負担金の取り扱い、組合の解散についても他2つの手続法と同様です。
・権利変換計画
円滑化法では個人施行・組合施行共に権利変換計画の「公衆の縦覧」は不要です。
(区分所有者のみが知っていれば良いという事ですね。)
権利変換計画は関係者間の利害の「衡平」に考慮を払って定めます。
権利変換希望者には欠かさず「区分所有権」「敷地利用権」が与えられるように定めます。
権利変換希望者には欠かさず「借家権」の設定を受けている者に借家権を与えるよう定めます。
(権利変換を希望しない者にはこれらの配慮は必要ありません。)
※借家権設定者が権利変換希望をしない場合も「借家人を守る為、借家権を与えるように」定めます。
(施行者が貸主になり代わり、借家権を与えるということです。)
・区分所有権等の価額の算定
施行マンションの区分所有権等の価額は組合設立の認可の公告より「30日を経過した日」を基準として、近傍類地の価格を参考に決定する。
・権利変換への不参加
売渡請求は「組合設立認可の公告」「権利変換計画についての総会の議決」からそれぞれ「2ヶ月以内」は請求が可能です。
(建替えに参加しないなら住んでいる部屋を売ってくれ、というのが売渡請求です。)
買取請求は「権利変換計画についての総会の議決」から「2ヶ月以内」は請求が可能です。
(建替えに参加しないので住んでいる部屋を買ってくれ、というのが買取請求です。建て壊し正式決定後から請求可能という事ですね。)
・権利変換の効力
施行マンション:権利変換期日において、「施行者」に帰属します。
敷地利用権:一旦失われ、施設再建マンションの敷地利用権が新たに「区分所有者」へ帰属します。
・権利変換の登記
施工者は「権利変換期日後」「遅滞なく」「マンション敷地についてのみ」登記の申請をしなければなりません。
・マンション敷地売却事業
建替え費用の積立が出来ておらず、耐震性等の性能低下に伴い居住困難となったマンションを、多数決によってデベロッパーに買取を依頼する事業です。(本事業は組合施行のみです。)
まず「組合」にマンション・敷地の権利を取得させ、デベロッパーに売却し、新たにマンションを建設するという流れになります。
※円滑化法と違い、組合に権利を集約した時点で担保権、借家権等の権利は消滅し、権利者には「補償金」を支払います。
特定行政庁に認定申請をし、「要除却認定マンション」となった場合、区分所有者の「5分の4」以上の多数で売却決議をすることができます。
(決議前に「買受計画」を作成し、知事等の認定を申請することができ、買受人は当該計画を作成した「認定買受人」でなくてはなりません。)
また、新たに建てるマンションが環境整備改善に資すると判断された場合は「容積率の緩和」が受けられます。
★円滑化法が「建替え後のマンション取得」なのに対して敷地売却事業は「売却益の受け取り」という結果になります。