都市計画法は計画的な街作りを目的とする(乱開発を規制する)法律です。
まず街を作る場所「都市計画区域」を定め、
次に街作りのプラン「都市計画」を行い、
プランに反する行為を規制する「開発行為制限」と「都市計画事業制限」を加えます。
都市計画区域とは一体の都市として総合的に「整備・開発・保全」する必要のある区域です。
都道府県知事が指定しますが、2以上の都府県にまたがる場合は国土交通大臣が指定します。
都道府県知事が指定するときはあらかじめ「関係市町村」及び「都市計画審議会」の「意見」を聴くと共に、
国土交通大臣に審議し、その「同意」を得なければなりません。
★国土交通大臣が指定するときはあらかじめ関係都府県の「意見」を聴くだけでOKです。
・基礎調査
概ね「5年毎」に都市計画における一定の事項に関する現況を「必ず」調査しなければなりません。
・縦覧不要
都市計画区域の指定案については公衆の縦覧手続きは不要です。
(国がイニシアティブを持って指定する事ができるわけですね。)
都市計画区域「外」のうち放置すれば将来における開発・保全に支障をきたすと認められる区域です。
例として高速道路のインターチェンジ周辺などが挙げられます。
指定権者は「都道府県」で手続きは都市計画区域と同一です。
ただし、国土交通大臣の「同意は不要」で、基礎調査は「必要があれば」実施というルールになっています。
(都市計画区域よりも少しおざなりな区域です。)
・準防火地域は定められません。
・高度地区を定めることができます。
都市計画は「土地利用」(単発事業)と「建物利用」(総合事業)の観点から街作りのプランを策定します。
都市計画区域にはマスタープラン(整備・開発・保全の方針。必須)・区域区分・地域地区・都市施設・市街地開発事業・地区計画等
を定めることができます。
・区域区分
市街化区域と市街化調整区域を定めることができます。
※準都市計画区域には定められません。
市街化区域:既存の市街地及び概ね10年以内に市街化を図るべき区域。
市街化調整区域:市街化を抑制すべき区域。
非線引区域:市街化区域、市街化調整区域以外の、「都市計画区域」。
決定権者は「都道府県」です。
・用途地域
用途地域とは「市街化区域において必ず定める」土地利用の制限です。
用途地域を定める事で「用途規制」がかかり、建築物に制限が加わります。
※市街化調整区域は「原則」定めません。(定めることは可能です。)
※非線引区域は定めることができません。
第一種低層住居専用地域:高級住宅街。
第二種低層住居専用地域:「主として」低層住居専用。コンビニ混じりの高級住宅街。
田園住居地域:農地のある低層住居専用地域。直売所やレストランが例外的に認められる。
第一種中高層住居専用地域:中高層のマンションや小規模店舗のある地域。
第二種中高層住居専用地域:「主として」第一種より建物の種類が増える地域。
第一種住居地域:戸建マンションが混在。
第二種住居地域:「主として」カラオケ、パチンコもOK。
準住居地域:幹線道路沿いの地域。
近隣商業地域:駅前商店街。
商業地域:「主として」繁華街。
準工業地域:「主として」「環境悪化の危険な製品を除く製品」を製造する工場以外。
工業地域:「主として」住宅店舗も比較的存在する工業地帯。
工業専用地域:工場オンリーの地域。
★用途地域に関する都市計画は、容積率を定めなければなりません。しかし、建蔽率は必ずしも定める必要はありません。
★商業地域以外の用途地域は、建蔽率を定めるものとされています。
区域区分、用途地域に+αで規制をかける地域です。
特別用途地区:当該用途地区の「特性にふさわしい」土地利用の増進。
例:商業地域内に小学校がある場合、特別用途地区を重ねることで風俗店を規制。
特例容積率適用地区:容積率の移転を認める地区。(余分な容積率を譲渡できる)
例:低層商業施設の容積率余裕分を買取、高層オフィスビルを建てる。
※低層住居専用地域系、工業専用地域では定めない地区
高層住居誘導地区:住居とオフィスビルの融合を容積率の緩和によって図る地区。
例:オフィスビルの上階に居住用住戸が存在するような高層ビル。
高度地区:建物の「高さ」の最高限度、最低限度を定める地区。
ただし、再生エネルギー源の利用に資する設備の設置のために必要で、やむを得ない場合、
特定行政庁が許可した場合はその許可の範囲内において高さの限度を超えることができます。
高度利用地区:建物の「容積率」の最高限度、最低限度を定める地区。
特定街区:容積率、高さの最高限度と壁面の位置を「都市計画で」定める地域。
例:新宿西口の超高層ビル街。
特定用途制限地域:用途地域外かつ市街化調整区域外でのみ定められる地域。(つまり非線引区域か準都市計画区域か両区域外)
例:準都市計画区域内で遊技場の築造を制限する。
風致地区:「地方公共団体の条例」で、都市の「自然美」を維持する為に定める。
風致地区内における条例に関し不服のある者で、その理由が鉱業等の調整に関するものである場合は公害等調整委員会に裁定の申請をする。
地方公共団体が条例で規制する場合、違反者に対しては罰金のみを科する規定を設けることができる。