国土の計画的利用の促進と地価上昇の抑制をするための法律です。
・国土利用計画
「全国計画」「都道府県計画」「市町村計画」に大別されます。
★全国計画は都道府県計画、市町村計画の基本となります。
・土地利用基本計画(都道府県計画)
下記の「5つの地域」から構成されます。
都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域
・土地利用基本計画の決定手続き
都道府県が、その都道府県の地域に定めます。
・土地調査員
都道府県には国土利用計画法により届出義務が課せられる当事者の営業所、事務所への立入検査や質問に関する職務を行わせるための「土地調査員」を置く事ができます。
事後届出(23条1項)
「土地売買等の契約」を締結した場合は、「権利取得者(買った人)」が「契約日から2週間以内」に、
「市町村長を経由」して、「都道府県知事」に「届出(利用目的・価格)」をしなければならなりません。
・取引別届出要否
届出必要:売買、予約完結権の譲受・買戻権の譲渡、権利金の授受を伴う借地権の設定
届出不要:時効取得、贈与、相続、抵当権設定、予約完結権の「行使」
・届出面積
(市街化区域に住みたいなそれ以外はごめんだよもっと外ならとんでもない)
市街化区域:2,000㎡以上
その他の都市計画区域(調整区域、非線引区域):5,000㎡以上
都市計画区域以外:10,000㎡以上
※「物理的一体性」があれば、分筆して時間差で取得した場合でも届出が必要となります。
・例外的に届出不要なケース
調停・和解による場合
当事者の一方又は双方が「国・地方公共団体」の場合
農地法3条(農地の権利移転)の許可を要する場合
遊休土地(国土利用計画法の届出・許可を終えていて放置されている土地)の買取の場合
注視区域・監視区域の指定解除時に既に届出をしており、利用目的の変更もしない場合
担保権の実行としての競売によって換価する場合
・勧告、助言
都道府県知事は「土地の利用目的」について必要な場合は変更すべきことを、「届出の3週間以内」に「勧告・助言」する事ができます。
※取引価格についての勧告はできません。
届出者が勧告に従った場合、知事は土地の権利処分についてあっせん等の措置を講ずるよう努めなければなりません。
従わない場合、知事は勧告の内容を「公告」できます。
※罰則はなく、契約も有効ですので、単に晒すだけです。
※届出自体を行わない場合は当然罰則があります。
★助言は勧告より緩いアドバイスで、助言は「事後届出制」のみの制度です。
事前届出制「注視区域」
「都道府県知事」は地価上昇のおそれがあり、必要な場合、「注視区域」を指定する事ができます。
「土地売買等の契約」を締結しようとする場合は、「当事者(権利譲渡者、取得者共に)」が、
「あらかじめ」「都道府県知事」に「届出」をしなければなりません。
※取引別届出要否、届出面積、届出不要のケースは「事後届出」と同様ですが、
あらかじめ、両当事者が届出をしなければならず、届出面積については「両当事者」を基準に判断します。
・届出の効力
注視区域における「届出(利用目的・価格)」をした場合、「届出日から6週間」を経過するまで土地売買等の契約を締結できません。
届出後、対価の額、土地の利用目的が変更された場合は「再度届出」が必要です。
※土地の価額の「減額のみ」の変更については再度届出は不要です。
(国土利用計画法は地価の上昇を抑制する法律だからです。)
・勧告
都道府県知事は「土地利用審査会」の意見を聴いて、契約の中止などを「勧告」する事ができます。
勧告の必要がない場合は、知事は遅滞なく届出者にその旨を「通知」しなければなりません。
※勧告後の取り扱いは「事後届出」と同様です。
事前届出制「監視区域」
「都道府県知事」は地価が「急激に」上昇するおそれがあり、必要な場合は、「監視区域」を指定する事ができます。
・注視区域との相違点
監視区域内では、「都道府県の規則で」定める面積以上の土地取引についても「届出」が必要です。
(2,000/5,000/10,000㎡とは別に、届出面積が設けられている場合があります。)
事前届出制「規制区域」
「都道府県知事」は投機的取引が集中して行われ、地価が急激に上昇するおそれがあり、必要な場合は、「規制区域」を指定する事ができます。
・注視区域、監視区域との相違点
届出面積の概念がありません。(面積問わず知事の「許可」が必要です。)
許可を得ていない取引は「無効」となります。(勧告内容の公告や罰則以前に、効力を生じないという事です。)
※注視区域及び監視区域は、許可を得ていない取引でも無効とはなりません。