自社ビル:1998年以降減少傾向 賃貸ビル:緩やかに増加傾向
・フレキシブルオフィス
自社ビルから賃貸ビルへ、賃貸ビルからフレキシブルオフィスへの移行。
一般的な賃貸借契約とは違い、独自の利用規約に基づいて提供される、柔軟な契約スタイルを持つワークプレイス。
Ex:コワーキングスペース、サテライトオフィス、シェアオフィス、レンタルオフィス、サービスオフィス...)
オフィス空室率:リーマンショック以降減少傾向であったがコロナ禍の影響で近年増加傾向
・自然空室率
賃料が反転する需給の均衡点である自然空室率は、東京については4-5%程度と言われることが多い。
・テナントニーズの把握:立地、面積、時期、予算
要式契約or諾成契約:民法上は諾成契約で成立するものの、認められない判例が多い。
★定期建物賃貸借契約は要式契約
・定期建物賃貸借契約
定期建物賃貸借における期間の定めは、長期・短期ともに制限がない
締結時に予め更新の無い契約であることを書面で説明しなければならない。説明が無かった場合は普通建物賃貸借契約となる。(契約は有効)
期間1年未満の定期建物賃貸借においては、終了通知は不要である(1年間ぴったりの場合は終了通知を要するので注意)
明渡しに際し、賃貸人は、賃借人に対し、相殺の意思表示をすることなく敷金を未払賃料等に充当する事が出来る
賃借人の債務不履行(賃料の未払等)の際に無催告にて解除できるという特約は、不合理と認められない事情があれば有効となる
賃料の支払については、特約がなければ、賃借人が賃貸人の住所に持参して支払わなければならない
賃借人の債権者が建物の明渡前に敷金返還請求権の転付命令(債務者の財産に対する強制執行の一つ)を得ても無効であり、債権者は敷金返還請求権を取得できない
敷金返還義務は所有権移転時に当然に引き継がれる(敷金残高に相当する金員の受領有無については問わない)
敷金によって担保される債権の範囲は、賃料債権だけではなく、賃貸借契約存続中の賃料支払遅延による遅延損害金も担保される
・建物賃貸借契約
建物賃貸借契約において、契約成立のために必要不可欠な事項は、貸室の特定、賃料、貸室を使用収益させ、賃料を支払う約束 の3点である。
解約予告期間は借主:3カ月 貸主:6カ月 が原則(実務では借主:1カ月のケースが多い為注意)
賃貸借期間について、民法では50年を超えることができず、これより長い期間を定めたときは、50年に短縮すると定められている。
・解約時の正当事由
建物賃貸借契約の更新拒絶等の際に必要とされる正当事由は、まず基本的要因である賃貸人が建物の使用を必要とする事情と、賃借人が建物の使用を必要とする事情を比較考量してその存否が判断され、
基本的要因の比重が同等である場合は、基本的要因に補充的要因をあわせて、正当事由の存否が判断される。
・建物以外の賃貸借契約
壁や屋根によって排他性と独立性が認められる場合、借地借家法上の賃貸借契約に該当する。
・契約条項
必要事項:貸室の特定、賃料、貸室を使用収益させる約束
法律に定めのある特約:賃借権の無断譲渡禁止、無断転貸の禁止、賃貸人の修繕義務 等
法律との規定と異なる特約:賃料の支払時期、支払場所、賃料不増額特約、賃料不増減額特約(普通or定期)、遅延損害金利率、賃借人の修繕義務 等
法律に定めのない特約:敷金保証金、共益費、使用目的、更新料 等
・デジタル社会形成基本法・デジタル社会形成整備法
契約のペーパーレス化等→借地借家法の改正(要式契約の電磁的記録を認める)
・宅建業法の改正
媒介契約書面の電子化
重要事項説明書の宅建士押印省略(記名のみ)
重要事項説明書、契約締結時交付書類の電子化
・賃貸住宅管理業法
管理業者登録制度(200戸以上の管理が対象)、サブリース規制
・有益費償還義務
貸室を使いやすくするため、賃借人が貸室に改良を加えることがある
賃借人の改良によって貸室の価値が増加した場合に、その増加価値は賃貸人にとって不当利得となる
そのため、民法では、賃借人の支出した改良費(有益費)も賃貸人から賃借人に償還させるものとし、賃貸人の有益費償還義務を認めている
有益費償還義務と造作買取請求権の違いは、改良部分が建物の構成部分となり賃貸人の所有となるか、独立の物として賃借人の所有のままかという点にある
また、有益費償還請求権については賃貸人の同意を得ていない有益費についても行使する事は可能である
・必要費償還請求権
賃借人が賃貸物件について必要費を支出した場合、賃借人は、賃貸人に対し、その支出した全額を直ちに請求することができる
なお、賃借人に必要費償還請求権を放棄させる旨の特約は有効である
・修繕の通知
賃借物につき修繕を要する場合で、これを賃貸人が知らないときは、賃借人は遅滞なくその旨を通知しなければならない
(賃貸人が修繕の必要性を知っているときには、賃借人に通知の義務はない)
賃貸借契約の目的物の破損が天災その他の不可抗力によって生じた場合、修繕が可能である限り、賃貸人には修繕義務がある
・賃料増減額請求権
相手方に対する意思表示が到達した時点で効力が生じ、当事者間で賃料増減額の合意が成立しなくともその効力を生ずる
請求時点から将来に向かってのみ効力を生じさせることが原則であり、過去にさかのぼって増減額を請求することはできない
賃料決定の当初から賃料が不相当であったとしても、それのみでは賃料増減額請求の要件とはならず、賃貸借契約締結後に約定賃料の前提となる事情に変更があった場合に限られる
賃借人から減額請求がなされた場合でも、賃貸人は相当と認める賃料額を請求できるため、従前の賃料額を請求すれば、賃借人は、裁判が確定するまでは、請求された金額を支払わなければならない
賃貸人から賃料増額請求権が行使され、協議が調わない場合、賃借人は増額を正当とする裁判が確定するまでは、自らが相当と認める賃料を支払っていれば足りる
・賃料の供託
賃借人が賃料の支払をしようとしても賃貸人が受領を拒絶した場合に、賃料を法務局に供託することで、賃料支払債務を消滅させることができる
・賃借権の譲渡
賃借人は賃貸人の承諾がなければ賃借権を譲渡し、または賃借物を転貸することはできない旨民法に定められており、賃貸人の承諾のない譲渡、転貸は、有償無償を問わず禁止される
賃貸人の承諾を得て、賃借人の地位が移転した場合、賃貸人、旧賃借人、新賃借人の間で合意がなければ、預託金の返還請求権は旧賃借人が有することになる
・所有権移転
建物の所有権が新所有者に移転した場合に、賃借人が賃借権の対抗要件を備えていなければ、賃貸人の地位は建物の旧所有者と新所有者の合意がない限り移転しない
賃借人が賃借権の対抗要件を備えている建物が譲渡され、所有権が新所有者に移転した場合、新所有者が賃貸人の権利義務を承継するが、
敷金の性格をもたない預託金(建設協力金など)については返還義務を承継しない
催告の抗弁権
保証人が履行を請求された場合にまず主たる債務者に催告すべきであるという抗弁権
検索の抗弁権
主たる債務者に弁済の資力があり、かつ執行が容易であることを証明したとき、行使できる抗弁権
→連帯保証の場合、これらの抗弁権が認められない
・自力救済
私人が司法手続によらずに強制的に自己の権利を実現することをという。
ただし、債務者が任意に権利の実現に協力しない場合であっても、自力による権利の実現を認めると社会秩序を維持することができず、混乱を招くおそれがあり、
私人の権利の実現は裁判所の手続きを通じて行わなければならず、自力救済は許されないものとされている
・転貸借
賃借人が賃貸人の承諾なく第三者との間で転貸借契約を①締結し、②使用収益させた場合賃貸人は、賃貸借契約を解除できる
承諾ある転貸借がある場合、賃貸人は、転借人に対し、賃貸借契約の合意解除をもって、対抗することができない
原賃貸借が、賃借人の債務不履行に基づく解除により終了する場合、転貸借は、賃貸人から明渡請求がなされたときに終了する
→転貸借は、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求したときに、賃借人(転貸人)の転借人に対する債務の履行不能により終了する
賃料不払いの債務不履行によって、原賃貸借が解除されて終了した場合、転借人が賃貸人に対して義務を履行した場合は、その限度で、転借人は賃借人に対する義務を免れる
→つまり、賃借人の賃貸人に対する義務の履行という観点からは、転借人は賃借人の履行補助者とみなすことができる
転借人は、原賃貸借契約の賃貸人に対して、賃貸人と賃借人との契約で定めた賃料額の範囲で賃料支払義務を負う
ただし、転貸賃料の方が安い場合は、賃貸人は転借人に対し、転貸賃料までの請求しかできない
賃貸人も賃借人も両方とも独立に転借人に対し、賃料請求をする権利を有するが、賃貸人か賃借人のどちらかが転借人から賃料を受領すれば、もう一方は賃料を請求することができなくなる
原賃貸借の更新拒絶の正当事由の判断においては、賃借人(転貸人)が建物を必要とする事情のみならず、賃貸人が転借を承諾していれば、転借人が建物を必要とする事情も考慮される
売買により貸室の所有権が賃貸人から新所有者に移転すると、賃貸人の地位は新所有者に移転するが、転貸人の地位は当然に新所有者に移転するわけではない
貸室の所有権の譲渡人と譲受人との間で、賃貸人の地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意がある場合、転借人に対して、賃貸人の地位の留保を主張することができる
賃借権が譲渡された場合、賃借人の地位は賃借権譲受人に引き継がれるが、賃借権譲渡人が有する敷金返還請求権は賃借権譲受人に引き継がれず、賃借権譲渡人が賃貸人に返還請求することとなる
・サブリース契約
サブリース会社が破産した場合、賃貸借契約は解除できるが、転貸借契約は解除できない(転借人保護)つまり、転貸人の地位を所有者に譲渡する事となる
借地借家法によると、サブリース契約において賃料減額請求を認めない特約が附されている場合でも、サブリース業者は所有者に対し減額請求を行うことが許されるとされている
・地上権(物件)と賃借権(債権)
土地所有者若しくは貸主に対する譲渡承諾の要否に違いがある
・借地契約期間
普通借地権の期間について、30年未満の期間を定める特約は、借地権者に不利な特約として無効であり、30年未満の期間を定めたとしても、賃貸借期間は30年になる
これに対し、30年を超える期間を定めたときは、当事者の定めた約定の効力が認められる 更新後の契約期間に関しては、更新後最初の期間は20年、その後の更新後の期間は10年である
・契約の主体
自然人、法人に限らず団体に法人格がなくとも、団体としての組織を備え、多数決の原則が行われ、構成員の変更があっても団体そのものは存続し、
その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理など団体としての主要な点が確定している場合には、取引の主体となりうる
合併には、吸収合併と新設合併の2種類があり、いずれの合併の場合も、個々の権利義務について個別の移転手続をすることなく、消滅会社の権利義務が、存続会社または新設会社に包括的に承継される
・清算、再生制度
清算型:破産手続(破産法)特別清算(会社法)
再建型:民事再生、会社更生
※私的整理(任意整理)は法的手続きによらない
・賃借人の倒産
賃借人に破産手続開始決定がなされた場合、破産管財人は賃貸借契約の継続履行か解除を選択できる
解除を選択した場合、破産手続開始前の債権は破産債権、開始後の債権は財団債権になる
履行を選択した場合、破産手続開始前に履行期が到来していた賃料債権は破産債権、開始後に履行期が到来した賃料債権は財団債権になる
賃借人が破産した場合、破産管財人は賃貸借契約の解除または履行のいずれかを選択することができる
賃貸人は、破産管財人に、相当の期間を定めていずれを選択するか確答すべき旨を催告することができるが、期間内に確答しないときは、賃貸借契約は解除されたものとみなされる
・賃貸人の倒産
手続開始後の賃料支払先
破産:破産管財人 民事再生:再生債務者(賃貸人)会社更生:更生管財人
賃借人は引渡しをもって破産管財人等に賃借を対抗できる