固定資産
有形固定資産:不動産等
無形固定資産:権利等
投資その他の資産:株式等
有形固定資産
取得原価
購入価格の他に取付費、運送費、試運転費等も取得原価に含める。
★自家建設の場合は適正な原価計算基準に従って製造原価を計算し、これに基づいて取得原価を計算する。なお、建設に要する借入資本利子で稼働前の期間に属するものは取得原価に算入する事ができる。
・現物出資
例えば株主から金銭以外(土地等)で出資を受けた場合は土地の評価額をまず計算し、これを取得原価とする。
・交換
適正な時価または簿価をもって取得原価とする。
※同一種類、同一用途の固定資産の交換において、交換差益は発生しないという考え方をするので、取得資産の価額を、交換資産の簿価として考える場合と時価として考える場合がある。
・贈与
時価のように公正に評価した金額をもって取得原価とする。
※自家建設の場合の借入資本利子
建設に要する借入資本利子であり、設備稼働前に支払った利息であれば取得原価とすることが出来る。(原則は財務費用として考えるので、取得原価不算入。)
資本的支出
機械設備であれば耐用年数が延びる等、資産価値を増加させる支出。
収益的支出
機械設備であれば下がった資産価値を原状回復するための支出。
減価償却
資産価値の減少分を費用として計上する会計手続。
適正な費用配分、毎期の損益計算を正確にならしめることが減価償却の目的と言える。
(固定資産の流動化、内部金融効果)
・定額法
毎期均等額で減価償却費を計上する。
・定率法
毎期同じ償却率を乗じて減価償却費を計上する。
・生産高比例法
利用度(生産又は用益の提供の度合い)に応じて減価償却費を計上する。
減耗償却
減耗性資産に対して適用される。計算手続的には生産高比例法と同じ。
減耗性資産とは例えば鉱山業における埋蔵資源の様に採取するにつれ漸次減耗し枯渇する天然資源を表す。
・取替法
老朽品の部分的取り替えによって全体が維持される固定資産(取替資産)に適用される。
(Ex:電車のレール等。)取替時における費用を当期の費用として計上する。
(取得原価部分に相当する資金が留保される。)
物理的減価:外観上の損耗等使用の経過と共に生じる減価。
機能的減価:型落ち品の様に製品の陳腐化によって生じる減価。
正規の減価償却
計画的、規則的に行われる適正な期間損益計算による減価償却。
臨時損失
災害、事故等の偶発的事情によって固定資産の一部や全部が滅失した場合の滅失部分に対する金額に応じた減価償却。
期末評価(減損会計)
固定資産の収益性が下がった場合、帳簿上の固定資産価額を減損させる必要がある。
減損の流れ:減損の兆候→減損の認識→減損の測定
★減損会計は単に時価に直すのではなく、固定資産の「回収可能性」を考慮するものであるので、期末時点を起点とした将来の回収可能額と、過年度の回収完了額を勘案して減損会計を行うべきだとされている。
◎割引前将来キャッシュフローよりも帳簿価額が上回っている場合は減損損失を認識する。
◎正味売却価格と使用価値のいずれか高い方の金額が固定資産回収可能価額となる。
減損処理前の取得原価から減損損失を直接控除し、控除付後の金額を取得原価とする。
無形固定資産
有償で取得したモノは貸借対照表へ表示できるが、無償のモノ(Ex:のれん)は表示できないとされている。
のれん:同業種の他企業と比較して平均利潤を上回る能力を資産化したもの。
のれんは自己創設ののれんと買収・合併によって取得したのれんのみを貸借対照表に表示できる。
(自己創設ののれんは客観性を欠いており、取得価額の見積が困難である事に加え、今後の業績に応じて増減する為不確実性を伴い、投資のリスクから開放されていない為、貸借対照表に表示することは望ましくない。)
★のれんは20年以内に償却するものとされている。
投資その他の資産
・賃貸等不動産
棚卸資産に分類されている以外の不動産であり、インカムゲイン、キャピタルゲインの獲得を目的としている不動産(投資不動産)や将来の使用が見込まれていない遊休不動産等が該当する。
金融投資として捉える場合:時価の変動額を当期の損益として認識する。
→キャピタルゲイン志向
事業投資として捉える場合:取得原価基準により会計処理を行う。(時価は注記によって開示)
→インカムゲイン志向
繰延資産・研究開発費・ソフトウェア製作費
繰延資産(Ex:開業費)
繰延資産とは将来の期間に影響する特定の費用(①既に代価の支払いを終え、②役務の提供が開始されており、③その効果が将来に渡って生じると期待される費用)を、経過的に貸借対照表へ資産として計上したものをいう。
★株式交付費(証券会社への手数料)
国際会計基準では株主との取引であり、資本取引に付随する費用とされているが、我が国では資本から直接控除することは出来ないという理由から財務費用とみなし、会社業績に反映させるべきとしている。
※繰延資産の前払費用の違いは、前者は擬制資産である(債権性は無い)のに対し後者は請求権を持つ真性資産であるという点等。
研究開発費
研究とは新しい知識の発見を目的とした計画的な調査及び探究をいう。
開発とは新しい製品・サービス・生産方法についての計画もしくは設計の具体化をいう。
現行制度上、研究開発費は発生時に費用として計上する。(繰延資産にならない)
開発のために費消されたすべての原価が研究開発費に含まれる。(一般管理費として)
ソフトウェア製作費
研究開発目的:受注製作のソフトウェアは該当しない。
自社利用目的:無形固定資産として計上。
市場販売目的:製品マスターを製作し、複写したものを販売する。
→最初に製品化された製品マスター(Ver.0)までを研究開発費と考え、複写品は販売及び一般管理費として計上する。
★市場販売目的のソフトウェア製品マスターの減価償却は見込販売収益に基づき費用計上する方法がある。自社利用目的の場合は定額法による償却が合理的であるとされている。