イニシャルコストの4.5倍、うち7割はメンテナンスコストと言われている。
・耐用年数とLC計画年数
ビル:技術的陳腐化→社会的陳腐化→物理的劣化
ホテル:社会的陳腐化→技術的陳腐化→物理的劣化
(ホテルは消費者により近く、流行が生まれやすい為、技術的陳腐化を迎える前に古臭く感じてしまう)
◎期待耐用年数の後期~法定耐用年数の間でLC計画年数を策定する。
※期待耐用年数は法定耐用年数よりも長い傾向にある点に注意・LC計画年数は保守的な耐用年数を用いる。
・設備耐用年数
電気、給水、空調、エスカレーター:概ね15年
エレベーター:概ね17年
・ビル設計
照明:事務所の照明設計をする際、JIS Z9110による推奨照度は750lxとされている。
・管理業務委託契約(狭義のプロパティマネジメント)
民法で典型契約として定められた委任契約に分類される。
ソフト:CM、LM、AM・オーナーへの運営計画提案等。
ハード:BM業者のコントロール
共益費の算出(新築時):維持管理費、水光熱費の想定→共益費原価の算出
共益費の単位原価については、共益費の対象範囲や管理スペックが重要となる。また、賃室の有効率(賃貸可能面積)は、上記の単位原価に大きな影響を与える。
・維持管理計画
予防保全:法定点検、自主点検に基づいた不具合発生前の事前更新、改修工事
事後保全:突発的な故障等への迅速な対応が可能、テナントへの影響が僅少である等の理由で予防保全をしないカテゴリ
・リニューアル工事
経年劣化(設備寿命に近づいている)や陳腐化(現在のテナントニーズとマッチしない設備と化す)が主な理由
etc:コンバージョン(用途変更)、耐震補強 → 商品性能、安全性、省エネ性の向上が見込まれる
・渉外業務
諸官庁対応業務 Ex:法定点検・検査の立会、報告書の保管等
・委任契約
民法上、受任者は、原則として復委任することができない。
民法上、委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
・貸方区分取り決め
ビルの標準仕様や工事区分(ABC工事)の取り決め
①建築物衛生法
建築物における衛生的環境の確保、公衆衛生の向上に関する法律
対象:3,000㎡以上の特定建築物(学校は8,000㎡以上)
規制:管理技術者の設置、帳簿書類の備付、立入検査・改善命令の対応
※建築物環境衛生管理技術者は、選任されたビルに常駐する必要はない。
空調・給排水設備の品質管理、防虫・防鼠(IPM:総合的有害生物管理)
特定建築物が使用されるに至ったときは、
1か月以内に厚生労働省令の定めるところにより当該特定建築物の所在場所、用途、延べ面積などを都道府県知事に届け出なければならない。
★建築物環境衛生管理基準
・空気調和設備
空気環境測定:2カ月に1回実施。
ア 浮遊粉じんの量 | 0.15 mg/m3以下 |
---|---|
イ 一酸化炭素の含有率 | 100万分の6以下(=6ppm以下) |
ウ 二酸化炭素の含有率 | 100万分の1000以下(=1000 ppm以下) |
エ 温度 | (1) 18℃以上28℃以下 (2) 居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと。(令和4年4月1日以降) |
オ 相対湿度 | 40%以上70%以下 |
カ 気流 | 0.5 m/秒以下 |
キ ホルムアルデヒドの量 | 0.1 mg/m3以下(=0.08 ppm以下) |
冷却塔及び加湿装置に供給する水 | 水道法第4条に規定する水質基準に適合させるための措置 | - |
---|---|---|
冷却塔、冷却水 | 汚れの状況の点検 ※必要に応じて清掃及び換水等を行う。 |
使用開始時及び使用期間中1ヶ月以内ごとに1回、 (1ヶ月を超える期間使用しない場合を除く) |
冷却塔、冷却水の水管の清掃 | 1年以内ごとに1回 | |
加湿装置 | 汚れの状況の点検 ※必要に応じて清掃及び換水等を行う。 |
使用開始時及び使用期間中1ヶ月以内ごとに1回 (1ヶ月を超える期間使用しない場合を除く) |
清掃 | 1年以内ごとに1回 | |
空気調和設備内に設けられた排水受け | 汚れ及び閉塞の状況の点検 ※必要に応じて清掃及び換水等を行う。 |
使用開始時及び使用期間中1ヶ月以内ごとに1回 (1ヶ月を超える期間使用しない場合を除く) |
★吸収式冷凍機(冷温水発生器)の機構
冷却塔→凝縮→再生→吸収→蒸発→空調
シックビル症候群:WHOで定義づけられた、換気の悪いビルの居住者が、鼻・目・のどの痛みを訴える症状
・給水設備
飲料水の管理 (貯水槽の清掃は1年に1回)
ア 給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の含有率を百万分の0.1(結合残留塩素の場合は、百万分の0.4)以上に保持するようにすること。 | 検査:7日以内ごとに1回 |
イ 貯水槽の点検など、有害物、汚水等によって水が汚染されるのを防止するため必要な措置 | 清掃:1年以内ごとに1回 |
ウ 飲料水の水質検査 | 定期:6ヶ月ごとに1回 |
エ 給水栓における水の色、濁り、臭い、味その他の状態により供給する水に異常を認めたときは、水質基準省令の表の上欄に掲げる事項のうち必要なものについて検査を行うこと。 | その都度 |
オ 飲料水に健康被害のおそれがあることを知った時の給水停止及び関係者への周知 | 直ちに |
雑用水の管理 (雑排水槽の清掃は半年に1回)
ア 給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の含有率を百万分の0.1(結合残留塩素の場合は、百万分の0.4)以上に保持するようにすること。 | 検査:7日以内ごとに1回 | ||||||||||
イ 雑用水の水槽の点検など、有害物、汚水等によって水が汚染されるのを防止するため必要な措置 | 随時 | ||||||||||
ウ 散水、修景、清掃用水の維持管理
|
●検査:7日以内ごとに1回 ●検査:2カ月以内ごとに1回 |
・建物管理技術者
特定建築物の建物管理技術者の職務は維持管理が環境衛生上、適正に行われるよう監督することであり、
その範囲は管理基準に従って維持管理が行われているかどうかの他、照明その他当該特定建築物の環境衛生上の維持管理に関する事柄が含まれる。
②消防法
・消防法8条1項
複合用途防火対象物、その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、
当該防火対象物について消防計画の作成、当該計画に基づく①消火②通報③避難の訓練の実施、
消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、
避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行なわせなければならない。
防火対象物の管理権原者は、その所有形態、管理形態、運営形態によって誰になるのかが判定されるが、主に実質的な所有者か、賃貸借契約に基づき賃借する事業主が権原者となる。
(管理受託者等は権原者とはならない。)
◎消防用設備等点検報告制度
消防用設備等の設置が義務付けられているすべての対象物で、消防法に基づき定期的に資格者が点検し、消防長等に報告を義務付けられている制度。
自動火災報知設備:煙や熱を検出する火災感知器・発信機・発信器の位置を明示する表示灯・そして感知器や発信器などからの火災信号を受ける受信機・警報を鳴動させるベルなどで構成される。
屋内消火栓:1号消火栓、易操作性1号消火栓、および2号消火栓があり、旅館、ホテル、病院等では、2号消火栓が設置される。
スプリンクラー消火設備:予作動式は、スプリンクラーヘッドの破損などによる水損を特に避けたい電算室などの対象物に用いられる。
不活性ガス消火設備:電気室や機械式駐車場等に設置されるもので、消火剤による汚損が少なく、早急に復旧をすることができるが、対象室を密閉する必要がある。
防火区画:水平方向への燃え広がりを防止する目的で一定の面積に閉じ込める面積区画、不特定多数が訪れる店舗などや事務所などの用途を分離するための異種用途区画、そして煙が急速に上階に拡散してしまう階段などに煙が流入することを防ぐ竪穴区画等がある。
※排煙設備(排煙機又は送風機を有するもの)は、建築基準法に基づく定期的な調査・検査報告が義務付けられている防火設備点検の対象ではない。
③電気事業法
事業用電気工作物を設置する者は、経済産業省令で定めるところにより電気主任技術者免状の交付を受けている者の中から電気主任技術者を選任しなければならない。
(自家用であれば選任の必要はない)
電気事業法上、事業用電気工作物は、「電気事業用の電気工作物」と「自家用電気工作物」に区分されるが、一般的なオフィスビルの電気設備は、「自家用電気工作物」に属する。
電気主任技術者:第一種→制限なし 第二種→17万V未満 第三種→5万V未満
⑤建築基準法
建築設備定期検査:6カ月~1年に1度実施 建築物の安全確保のために、建築物の定期調査・検査報告制度を設け、所有者または管理者に、結果を特定行政庁に報告させることを義務付けている。
⑥省エネ法
対象不動産:オフィスビル等においては大規模(延べ床面積2,000㎡以上)物件である。
※2021年4月1日施行の法改正により、対象に中規模(延べ床面積300㎡以上)のオフィスビル等を追加。
法律の対象は事業者が単位であり、1年間のエネルギー使用量を合計し、原油換算1,500キロリットル(kl)以上の場合は規制の対象となる。
省エネ法規制に該当する特定事業者は、エネルギー管理体制を整備して、中長期的にみて年平均1%のエネルギー消費原単位または電気需要平準化評価原単位を削減するよう努力する義務がある。
対象の事業者は定期報告書や中長期計画書等を年1回提出し、さらに、事業者全体にかかるエネルギー管理を統括する者を役員クラスの中からエネルギー管理統括者として選任し届け出なければならない。
省エネ法では、2016年より事業者クラス分け制度が新設され、削減目標達成の状況によりS、A、B、Cの4クラスで評価されるようになり、
S、Aクラスが優良事業者として公表される一方で、Bクラス以下は注意喚起等の対応が取られるようになった。
・省エネルギー手法
パッシブ:ビル本体の性能を高めるマテリアルの採用(現状設備の維持・改良)
エネルギーマネジメント:エネルギー供給の最適化(Ex:照明・空調等を利用時間・人口密度等に応じて抑揚をつける、自動制御・付加装置の取付)
アクティブ:設備更新(既存・新規設備のLCC等を勘案し検討する)
FIT制度:再生エネルギーの固定価格買取制度。
FIP制度:再生エネルギーの売電価格に一定のプレミアム(補助額、非化石化価値等)を上乗せした上での買取制度。
建物用途別エネルギー原単位は、電力や都市ガス等の一次エネルギーで直接、評価する。
・BEMS
エネルギーを使うビル内全設備を統合的に管理し自動制御することにより運転の最適化を図り、省エネルギー化を推進する管理システムである。
省エネ・節電の切り札として国の補助金制度などの追い風もあり導入が推進されてきた。
性能に応じて★の数が認定マーク付与されるが、5段階表示となっている。
⑦PCB処理特別措置法
PCB廃棄物保管事業者等はPCB廃棄物について毎年、保管及び処分の状況を都道府県知事に届け出なければならない。
⑧廃棄物処理法
マニフェスト制度:排出事業者が産業廃棄物の処理を委託する場合には、委託契約を「書面」で締結しなければならず、業者の許可証の写しの添付が必要である。
また、産業廃棄物を引き渡す際に規定様式のマニフェストを交付し、その後返送されたE票に記載された最終処分場の場所が委託契約書の記載と一致しているか確認する。
なお、返送されたマニフェストは5年間保存しなければならない。
⑨警備業法
警備業を営もうとする者は、都道府県公安委員会の認定を受けなければならない。
派遣社員に警備業をさせてはならない。
警備業を再委託する場合でも、元請企業が警備業法の認定を受けている必要がある。
⑬健康増進法
事務所・ホテル・飲食店等、第二種施設に分類される事務所においては、原則屋内禁煙となったが、
技術的基準を満たすことを条件に「喫煙専用室」または「指定たばこ(加熱式)専用喫煙室」の設置が認められた。
当該喫煙室の見やすい場所に標識の掲示が必要となることに加え、その施設の主な出入り口にも標識を設置することが求められる。
また、清掃員など業務上の必要のある従業員であっても20歳未満の者を立ち入らせてはいけない。
○その他関連法規
・石綿障害予防規則
石綿障害予防規則に基づいて行った事前調査の記録は3年間保存し、現場に備え付ける義務がある。
また、作業発注者は作業の実施状況についての写真等による記録が適切に行われるよう、写真の撮影を許可するなどの配慮する義務がある。
・失火責任法
ビルの火災には適用されないケースが多い。
(Ex:ビルテナント等の工作物責任を問うケース)
・工作物責任
工作物責任はあくまでも工作物の設置・保存に瑕疵があることによって損害が発生した場合の責任であり、
事故が発生してもその原因が工作物の設置・保存の瑕疵に基づくものでなければ、ビルの所有者や占有者には責任はない。
・不法行為
不法行為の事故による損害について、被害者側にも過失があった場合はその過失の程度に応じて損害賠償額が過失相殺により減額されるが、債務不履行による損害賠償についても同様な規定がある。
・区分所有
区分所有者の団体(管理組合)の規約の設定、変更または廃止は、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会の決議によって行うことができるが、
同規約の設定、変更または廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす場合は、その承諾を得なければならない。
区分所有法では、区分所有建物の欠陥により他人が被害を受けた場合、その被害者は専有部の欠陥か共用部の欠陥かを立証しなくとも、区分所有者全員に対して損害賠償を請求することができる。
・主要3業務
設備管理業務、警備業務、清掃管理業務
地域冷暖房:多数の施設に冷暖房や給湯用の冷水・温水・蒸気を集中熱源から供給するシステム。施設ごとに熱源を持つ場合に比べ、需要平準化と容量低減による効率向上、未利用熱利用、低需要時の効率低下防止、省スペース、さらには都市環境向上等の効果が期待できる都市システム。
長周期地震動:地震発生時において、揺れの周期が長い波を多く含む地震動で、ゆっくりとした揺れが非常に長く続き、超高層建築物や免震建築物への影響が大きいと考えられている現象。
・地震対策
地震に対応するための構造は、建物を強くする「耐震」、建物と地盤を切り離して揺れを伝えにくくする「免震」、ダンパーなどを使って地震の揺れを吸収する「制震」の大きく3つに分けられる。
・都市再開発法
都市再開発法による新設または変更の事業計画のある幅員6mの道路で、2年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したものは、建築基準法の道路となる。
・総合設計制度
都市計画で定められた制限に対して、建築基準法で特例的に緩和を認める制度の一つで、
公開空地(一定面積以上の敷地面積に対する空地)の確保により市街地環境の整備改善に資する計画を評価し、容積率、絶対高さ制限、斜線制限などを緩和するものである。
・高層住居誘導地域
高層住居誘導地区が住居系用途地域に定められた場合、住宅割合が3分の2以上の建築物については、容積率以外に道路斜線制限、隣地斜線制限が緩和される。