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会計学

会計学 一般原則

 

 

一般原則

 

 企業会計原則(企業の会計に対する暗黙のルール)

企業会計原則とは企業会計の実務の中に慣習として発達した中から、一般に公正妥当と認められたところを要約したものであって、

必ずしも法令に強制されないでも、全ての企業がその会計を処理するにあたって従わなければならない、基準のことをいう。

(全ての企業での会計ルールを統一することで監査人の判断の拠り所となる。)

 

 

 一般原則の内容(7つ)

 

 

1.真実性の原則

企業会計は企業の財政状態・経営成績に関して真実な報告を提供しなければならない。

絶対的真実:ある会計事象は取扱う人や環境に関わらず必ず同一の結果を持って真実とする。

相対的真実:時価や簿価のように人や環境で会計事象は変化し、真実は1つに限られない。

→日本の会計においては「相対的真実」が採用される。

 

 

2.正規の簿記の原則

企業会計は全ての取引につき、正規の簿記の原則に従って正確な「会計帳簿」を作成しなければならない。

(取引→証憑→【伝票→仕訳帳→総勘定元帳(会計帳簿)】→財務諸表)

帳簿の記録は一定要件(記録の網羅性、検証可能性、秩序性)を満たしている必要がある。

(架空取引の計上や記録漏れをせず、証憑をしっかり保存し、理路整然と記録する、)

◎重要性の原則

例えば文房具など、少額な会計事象を逐一資産計上すると処理が面倒なので、直接費用とする事が認められるように、重要性の乏しい会計事象については簡便的な処理をしてもよい。

 

 

3.資本取引、損益区分取引の原則

資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。

 

 

4.明瞭性の原則

企業会計は財務諸表によって利害関係者に対し企業の財政状態、経営成績を分かりやすく表示すべきことを要請されている。

 

 

5.継続性の原則

企業会計はその処理の原則及び手続(会計方針)を毎期継続して適用するものとし、みだりに、正当な理由なくこれを変更してはならない。

(利益操作によって期間比較が困難になる事を防ぐ)

※継続性の原則は「経理自由の原則」と対立するように見えるが、継続性の原則は変更を「禁止」しているわけではなく、変更頻度に「制約」を設けているに過ぎない。

 

 

6.保守主義の原則

企業の財政に不利な影響を及ぼす恐れがある場合は不確実性を排除する為に、適当に健全な会計処理をしなければならない。

(予想の収益は計上せず、予想の費用は計上し、コンサバに企業会計を見積もるという事。)

★例えば固定資産の評価益は実際に発生している収益ではないので、計上してしまうと株主への利益分配を純資産から捻出しなければならず、債権者保護への配慮に欠けるという考え方。

 

 

7.単一性の原則

目的別に異なる形式の財務諸表を作成する場合、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって。事実を歪めるものであってはならない。(実質一元、形式多元)

★株主総会用の財務諸表は利益を大きく、税務署へ提出する時の財務諸表は利益を少なくと言った細工は許されないという事。

 

 

 

◆論点◆

 

 

・企業会計原則

企業会計原則とは企業会計の実務の中に慣習として発達したものの中から、一般に公正妥当と認められたところを要約したものであって、必ずしも法令によって強制されないでも、全ての企業がその会計処理を行う場合に準拠しなければならない基準を提供すること、財務諸表監査における監査法人の判断の拠り所を与えること、会社法等の企業会計に関連する法令の制定・改廃に際しての基準を明らかにすることを設定目的とするものである。

企業会計原則は法令で規制されてるわけではないけど、守るべきものであり、ルールというよりマナー。監査法人が仕事しやすいように、会社法の企業会計に関係する法令の制定・改廃がしやすいように設定する。

 

・真実性の原則

企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。これを真実性の原則という。

真実性の原則でいう真実性は、財務諸表の正しい数値は常に1つしかないという絶対的真実性を意味するものではなく、財務諸表の正しい数値は2つ以上ありうるとする相対的真実性を意味する。

会計上の真実性が相対的なものとならざるをえない理由として、先ず、会計目的の歴史的変遷が挙げられる。

次に、今日の企業会計の暫定性が挙げられる。つまり、今日の企業会計は継続企業を前提とする故に、会計数値の算定に暫定的な計算が必要となる為、会計上の真実性は相対的とならざるをえないということである。

最後に、代替的会計処理方法の多様性が挙げられる。これは、今日の企業会計が代替的会計処理方法において多様化していることから、会計上の真実性は相対的とならざるをえないということである。

企業会計でウソの報告はNG。かといって財務諸表の正しい数値(真実)は常に一つとは限らない。(見方、捉え方によっては二つ以上あり得る。相対的に決まる。)相対的になる理由は会計目的が時代によって変化してきたことや、会計数値は暫定的(ある1期の成績でしかない)なものなのに加えて、企業によって採用している会計処理方法は違うから。

 

・正規の簿記の原則と重要性の原則の関係

正規の簿記の原則は、全ての取引を秩序整然と記録した、正確な会計帳簿により財務諸表を作成することを要求している。

正規の簿記の原則は、第一に帳簿記録を「一定の要件」に従って行うべきこと、第二に、会計帳簿と財務諸表間において、有機的な関連性を保持すべきこと、及び第三に、財務諸表相互間において、有機的な関連性を保持すべきことを要求している原則である。

ここで、帳簿記録が備えるべき「一定の要件」とは、全ての取引が漏れなく記録されているという記録の網羅性、会計記録が検証可能な証拠資料に基づいているという検証可能性、及び全ての記録が継続的・組織的に行われるという秩序性をいう。

重要性の原則によれば、重要性が乏しいと認められる場合には、簡便な方法によることが認められることになるが、簡便な方法が適用されると、簿外資産・簿外負債が生じることがあり、これは帳簿記録が備えるべき「一定の要件」に抵触するようにも考えられる。しかしながら、重要性の原則を適用した場合に生じる簿外資産・簿外負債の存在は正規の簿記の原則に従った処理として認められる。

なぜならば、企業会計は、企業の財務内容を明らかにして、企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることを目的としているからである。そのため、重要性の原則を適用した結果生じた簿外資産・簿外負債が、利害関係者の判断を誤らしめない程度に僅少であるばあいには、正規の簿記の原則に従った会計処理として認められるのである。

正規の簿記の原則:一定の要件(網羅性・検証可能性・秩序性)財務諸表と会計帳簿、財務諸表間は有機的な関連性を保持しなければならない。(分かり易くするために)

重要性の原則:しょぼい資産・負債等は簡便な方法での会計処理が認められる。一定の要件に抵触することになるけど、企業会計の重要な目的、「利害関係者の判断をしやすくする」が達成できるから。

 

・資本取引、損益取引区別の原則

資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。これを資本取引、損益取引区別の原則という。

資本取引とは、株主の払込資本の増減をもたらす取引をいう。また、損益取引とは、当期の収益及び費用並びに期間外損益の発生によって生じる資本の増減取引をいう。

資本取引も損益取引も株主持分としての自己資本を変化させるという点では同じであるが、現行の企業会計においては、企業活動の成果としての自己資本の増減額である期間損益を適正に計算する事が要請されている。そのためには、自己資本の増減額の内、損益取引のみを対象として損益計算をする必要があり、損益計算の対象を明確にして適正な期間損益計算を行わなければならない。よって資本取引と損益取引の区別が要請される。

次に、企業会計原則が資本剰余金と利益剰余金とを区分表示することを要請しているのは、混同してしまうと記号の経営活動の元手となる資金の発生源泉が不明確になってしまい、また、資本の浸食や利益を隠ぺいする事にもつながるので、企業の財政状態及び経営成績を適正に表示しえなくなってしまう。

つまり、企業会計原則は、企業の財政状態及び経営成績を適正に表示するために資本剰余金と利益剰余金との区分表示を要請している。

企業会計の重要な目的「利害関係者の判断をしやすくする」を達成する為にも損益取引、つまり「会社の稼ぐ力」を見える化する必要がある。

また、資本剰余金と利益剰余金を分けることで、出資者が「出資に対してどのくらい利益を残せているか」を判断しやすくする事ができる。

 

・明瞭性の原則

企業会計は財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。これを明瞭性の原則という。

企業内容の開示に際して、概観性の見地から、損益計算書や貸借対照表の様式、科目名、配列の順序等の表示方法について、理解しやすい方法を採用すべきこと(形式的明瞭性)が要求される。

形式的明瞭性の例としては財務諸表の区分表示や総額主義による記載等が挙げられる。

また、企業内容の開示に際して、詳細性の見地から、財務諸表に表示された項目や金額がどのような会計処理の原則及び手続に準拠して決定されたものであるか(実質的明瞭性)についても要求される。

実質的明瞭性の例としては、財務諸表に注記される重要な会計方針や開示後発事象等が挙げられる。

形式的明瞭性:分かり易いビジュアルの財務諸表を作る。 実質的明瞭性:財務諸表の内容の根拠を分かり易く表示する。

 

・会計方針の意義

会計方針とは、財務諸表作成のために採用している会計処理の原則及び手続並びに表示方法その他財務諸表作成のための基本となる事項をいう。

現行の企業会計制度においては、同一の会計事実に対して多様な代替的会計処理方法が容認されており、それらのうちいずれかを選択するかは、各企業の判断に委ねられている。そのため、同一の会計事実に対して、異なる会計方針を選択する企業の間で会計処理の結果及び表示内容が異なる場合が生じる。その結果、財務諸表利用者が企業の財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況についての判断を誤る可能性がある。sこで、財務諸表利用者が、会計数値の意味を的確に理解し、判断を誤らないようにするために会計方針の開示が必要となる。

会計処理方法が多種多様なので、会計方針を示さなければ財務諸表利用者が会計数値の意味を汲み取れず、判断を誤るおそれがある。

 

・後発事象とは

一般に後発事象とは、決算日後に生じた自称で、当期又は次期以降の財務諸表に重大な影響を及ぼす事項をいう。

後発事象は、修正後発事象と開示後発事象とに区別される。

修正後発事象は、貸借対照表日現在の状況に関連する会計上の判断ないし見積をするうえで、追加的ないしより客観的な資料を提供するものをいう。よって、当期の財務諸表を修正する必要が生じる。

開示後発事象は、当該事業年度の財務諸表には影響を及ぼさないが、次期以後の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすものであり、会社の財政状態及び経営成績に関する的確な判断を行うために開示が必要であると認められるものをいう。よって、当期の財務諸表に注記する必要が生じる。

後発事象の具体例としては災害等による重大な損害の発生や、重要な係争事件の発生又は解決等が挙げられる。

 

・継続性の原則と経理自由の原則

企業会計はその処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。これを継続性の原則という。

企業会計上の継続性の原則が問題とされるのは、1つの会計事実について2つ以上の会計処理の原則又は手続の選択適用が認められている場合である。

企業の業種や業態は多種多様であるため、画一的な会計処理方法に限定してしまうと企業の実情が適切に示せなくなるおそれがある。そこで、企業会計は1つの会計事実について2つ以上の会計処理の原則又は手続を一般に公正妥当な会計処理方法として認める場合がある。

それらの一般に公正妥当と認められる会計処理の原則又は手続の中から、企業の実状に応じて適切と判断されるものを自由に選択適用することを認め、更に企業の行う経理の主体性容認しようというものが経理自由の原則である。

しかし、経理の自由が認められるからといって企業経営者が恣意的に会計原則や手続を変更してもよいということにはならない。つまり、継続性の原則は、経理自由の原則の制約条件としての機能を有しているといえる。

 

・継続性の原則の必要性

継続性の原則が必要とされる理由として、財務諸表の期間比較性の確保と経営者による利益操作の排除が挙げられる。

具体的には、利害関係者が企業の財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況を判断する為には一会計期間の財務諸表のみでは十分でなく、数期間の財務諸表を比較し、検討できることが必要である。この場合、財務諸表の作成に用いられた会計処理の原則及び手続がみだりに変更されると、このような期間比較が無意味となる。

また、現行の企業会計においては、会計処理の原則及び手続について多くの代替的な方法が容認されているので、その選択適用を無条件に認めると、経営者が恣意的な会計処理を行う危険があり、その結果、不当な会計操作が行われる余地が存在する、

そこで、財務諸表の期間比較性を確保し、経営者による利益操作を排除する為、会計処理の原則及び手続を毎期継続して適用すべきであることが要請され、継続性の原則が必要とされるのである。

 

・会計処理の原則又は手続の変更が認められるケース

企業会計上、会計処理の原則又は手続の変更が認められるのは、「正当な理由」がある場合である。

継続性の原則が財務諸表の期間比較性を確保し、経営者による不当な利益操作を排除することを目的とするものであることから、この原則の趣旨に反しない限り、正当な理由による会計処理の原則又は手続の変更として認められると考えられる。

会計処理の原則又は手続の変更が認められる正当な理由について、具体的には会計基準等が改正された場合や企業を取り巻く経済環境が激変した場合が挙げられる。

正当な理由によって財務諸表の表示方法を変更した場合には、その内容を財務諸表に注記する。

 

・会計方針の変更

会計方針の変更とは、従来採用していた一般に公正妥当と認められた会計方針から他の一般に公正妥当と認められた会計方針に変更することをいう。

会計方針は正当な理由により変更を行う場合を除き、毎期継続して適用しなければならず、正当な理由による会計方針の変更は、①会計基準等の改正に伴う会計方針の変更②それ以外の正当な理由による会計方針の変更に分類される。

会計基準の改正に伴う会計方針の変更については、会計基準等に特定の経過的な取り扱いが定められていない場合には、新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用する。

会計基準等に特定の経過的な取扱いが定められている場合には、その経過的な取扱いに従う。

また、上記以外の正当な理由による会計方針の変更については新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用する。なお。遡及適用とは、新たな会計方針を過去の財務諸表に遡って適用していたかのように会計処理をすることをいう。

 

・表示方法の変更

表示方法の変更とは、従来採用していた一般に公正妥当と認められた表示方法から他の一般に公正妥当と認められた表示方法に変更することをいう。

表示方法は、以下の場合を除き、毎期継続して適用しなければならない。

①表示方法を定めた会計基準又は法令等の改正により表示方法の変更を行う場合

②会計事象等を財務諸表により適切に反映するために表示方法の変更を行う場合

財務諸表の表示方法を変更した場合には原則として表示する過去の財務諸表について新たな表示方法に従い財務諸表の組替えを行う。

尚、財務諸表の組替えとは、新たな表示方法を過去の財務諸表に遡って適用していたかのように表示を変更することをいう。

 

・会計上の見積の変更

会計上の見積の変更とは、新たに入手可能となった情報に基づいて、過去に財務諸表を作成する際に行った会計上の見積を変更することをいう。

ここで、会計上の見積とは、資産及び負債や収益及び費用等の額に不確実性がある場合において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出することをいう。

会計上の見積の変更は、当該変更が変更期間のみに影響する場合には当該変更期間に会計処理を行い、当該変更が修礼の期間にも影響する場合には、将来にわたり会計処理を行う。

 

・誤謬の訂正

誤謬とは、原因となる行為が意図的であるか否かに関わらず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったことによる、またはこれを御用したことによる誤りをいう。

過去の財務諸表における誤謬が発見された場合には、修正再表示する。

なお、修正再表示とは、過去の財務諸表における誤謬の訂正を財務諸表に反映することをいう。

 

・保守主義の原則と真実性の原則

企業の財政に不利な影響を及ぼす恐れがある場合は不確実性を排除する為に、適当に健全な会計処理をしなければならない。これを保守主義の原則という。

保守主義の元原則は、不確実性の経済社会において、将来酒ずるか漏れない不測の危険に備えて、企業の財政的基盤を出来るだけ京子にし、もって企業経営を安全に遂行し得るように配慮すべきことを要求する原則である。

会計の計算構造上、暫定的な期間損益計算が行われ、また代替的会計方法が数多く存在する事から不確実性が介入するおそれがある。このような不確実性を排除するために保守主義の原則が要請される。

他方、会計の機能の観点からは、有限責任を前提とする株式会社では債権者を保護する必要があり、また、資金的裏付けのある分配可能利益を算定し、財産の流出を極力抑える必要がある。このように、財政的基盤を強固にするため保守主義の原則が要請される。

企業会計は、保守主義の原則によって、予測される将来の危険に備えて慎重な判断に基づく会計処理を行わなければならないが、過度に保守的な会計処理を行うことにより、企業の財政状態等の真実な報告を歪めてはならない。すなわち、真実性の原則は、企業会計の究極目標を示す原則であって、保守主義の原則は、真実性の原則を支えるためにあるといえる。

 

・重要性の原則の意義

企業会計の目的とするところは、企業の財務内容を明らかにし、企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることにある。この見地から、重要性の高いモノについては、本来の厳密な会計処理と表示が要請されるが、重要性の乏しいものについては、他の簡便な方法によることも正規の簿記の原則に従った処理と認められ、同時にそれは表示に関しても適用される。これを重要性の原則という。

重要性の原則は他の一般原則と異なり、企業会計原則上注解として規定されているのみで、独立した規定を有しない。これは正規の簿記の原則や明瞭性の原則に内包され、両原則を制約しているからである。

重要性の判断については量的重要性と質的重要性があり、前者は会計処理や財務諸表作成における金額の重要性をいい、後者は企業の利害関係者の意思決定にとって重要な科目、会計方針、後発事象等に関する重要性をいう。

 

・重要性の原則の適用例

重要性の原則の会計処理上の具体的適用例は次の通りである。

1.消耗品等のうち、重要性の乏しいものについてはその買入時または払出時に費用としえ処理する方法を採用する事ができる。

2.前払費用、未収収益、未払費用及び前受収益のうち、重要性の乏しいものについては経過勘定項目として処理しないことができる。

3.引当金のうち、重要性の乏しいものについては、これを計上しない事ができる。

4.棚卸資産の取得原価に含められる引き受け費用、関税、買入事務費、如何費、保管費等の付随費用の内、重要性の乏しいものについては、取得原価に算入しない事ができる。

重要性の原則の表示上の具体的適用例は次の通りである。

1.分割返済の定めのある長期の債権又は債務の内、期限が一年以内に到来するもので重要性の乏しいものについては、固定資産又は固定負債として表示する事ができる。

2.特別損益に属する項目であっても、金額の僅少なものは経常損益計算に含める事ができる。

 

・重要性の原則と真実性の原則

真実性の原則とは、企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して真実な報告を提供するものでなければならないという原則をいう。

これに対し、重要性の原則とは、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理によらないで他の簡便な方法によることも正規の簿記の原則に従った処理として認められ、同時にそれは表示に関しても適用されるという原則をいう。

このことから、真実性の原則と重要性の原則は一見矛盾していると考えらえる。

しかしながら、そもそもの企業会計の目的とは企業の財務内容を明らかにし、企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることにある。

であるからして、厳密な処理や表示を実行して財務諸表を作成するために要するコストに対して得られる利点が少なすぎる場合は簡便な方法を認めようとする実務上の要請に基づき重要性の原則を適用すべきということになる。

したがって真実性の原則と重要性の原則は相互矛盾するものではないと考えられる。

 

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